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精神遅滞者の頭部CT所見
著者: 三上昭廣1 渡辺博1
所属機関: 1医療法人渡辺病院
ページ範囲:P.613 - P.618
文献購入ページに移動 抄録 15歳から59歳の非特殊型精神遅滞者192例の頭部CT所見を,年齢層別に,対照群132例と比較した。その結果,精神遅滞者群における拡大症例出現率は各年代で対照群より明らかに高かった。しかし精神遅滞者群を病的症状群(自閉,幻覚妄想状態,周期性精神病状態,情緒不安定)と非病的症状群に分け比較すると,病的症状群の拡大症例出現率は各年代で対照群より明らかに高かったが,それに対し非病的症状群と対照群との間にはほとんど差を認めなかった。精神遅滞の程度と拡大との間には一定の関係を認めなかった。精神遅滞者にみられる拡大には一定の局在傾向はなく,脳の広い範囲にわたって拡大を認める症例(Grade IIの拡大症例)は極めて少なかった。一方拡大とは別に,各群について小脳室(側脳室指数が0.3未満)の出現頻度を検討すると非病的症状群成人例(20歳台,30歳台)の小脳室出現頻度は対照群より高かった。
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