文献詳細
文献概要
研究と報告
心理テストによるKlinefelter症状群の知能と人格
著者: 佐郷透1 南光進一郎23
所属機関: 1東京大学医学部保健学科精神衛生学教室 2東京大学医学部脳研究施設 3現:帝京大学医学部精神科
ページ範囲:P.619 - P.626
文献購入ページに移動知能テストの結果では,中等度・軽度遅滞に属する症例が多くみられた。従来本症状群は軽い知能障害を伴うと考えられていたが,文献的に検討すると,その多くは精神障害を伴う本症状群の分析で得られた結果であり,新生児集団には知能障害を認めないものも多かった。このことから知能障害は本症状群の特徴というよりは,得られた集団の性質に依る可能性が示唆された。サブテストでは,言語性IQは動作性IQより低く,従来の知見をうらづけた。これはもっぱら言語性のうち『単語問題』の得点が低いことによっていた。ロールシャッハ・テストでは,『内的空虚さ』や『情動の鈍化』が本症状群に共通した特徴であり,また『特定の外的刺激に対する過敏さ』,『口唇的依存欲求』,『暖昧な性的同一性』などの特性は,精神症状を呈する本症状群の特徴があり,精神障害となんらかの病因的関連をもつと考えられた。
掲載誌情報