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短報
有機溶剤における“flashback”の問題点
著者: 河北英詮1 市川薫1 鈴木守2
所属機関: 1東京医科大学霞ケ浦病院神経科 2豊後荘病院
ページ範囲:P.651 - P.655
文献購入ページに移動慢性薬剤中毒者の中に長期連用により,中枢神経系に永続的に反応性の変化が生じたことを示唆する臨床報告がなされ注目されている15,16,20)。
ここに呈示する症例1は,有機溶剤連用により当初多幸爽快感を生じたものが,やがて夢想症そして幻覚妄想など精神病像へと発呈,長期にわたる寛解のあと,再使用により初め成立するのに長期を要した精神病像が,短期間にまた2回の溶剤使用で再燃,さらに発熱疲憊により自然再燃として溶剤の使用がなくても,ほぼ同様の精神症状の発現が認められた。極めて示唆に富んだ症例といえる。
ここに症例2と併せ報告し,有機溶剤においても,幻覚剤および覚醒剤中毒におけると同様,長期反復連用により脳に永続的な機能的変化が惹起され得る可能性について述べ,その上で有機溶剤によるflashback現象の問題点について触れたい。
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