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雑誌目次

雑誌文献

精神医学26巻7号

1984年07月発行

雑誌目次

巻頭言

精神科医療を改革するものは誰か

著者: 秋元波留夫

ページ範囲:P.678 - P.679

 私はかつて本誌の巻頭言で「消されてしまった中精審」という文章を書いたことがある(精神医学第21巻第3号,昭和54年3月15目)。昭和40年6月に公布された改正精神衛生法で,わが国の数百万にのぼると思われる精神障害者の医療と福祉を改革し発展させるための最高の審議機関として制度化された中央精神衛生審議会(中精審と略す)は昭和53年5月,「審議会等の整理等に関する法律」という政府の行政機構いじりの事務的とりきめによって廃止され,公衆衛生審議会なるものの一部会に格下げされてしまった。そのいきさつと抗議の思いを書いたのがあの文章である。
 中精審の廃止が端的に示しているわが国の政治と行政の当事者の精神障害問題に対する無知と偏見は依然として改められそうもない。このような精神衛生行政の状況と無関係ではあり得ない「悪徳精神病院」の存在は私たち精神科医療関係者にとって屈辱の思いに堪えない痛痕事である。その責任者は徹底的に糾弾され,法によって厳しく処断されるのは当然である。しかし,目前の「悪徳精神病院」をただ攻撃するだけで,そのような奇怪な悪徳病院がどうしてまかり通ってきたのか,こんなことが起きるのを防ぐにはどうしたらいいのか,など,問題の本質を衝く論議と具体的施策の提言が行われない限り,同じように事件がくりかえされることはこれまでのわが国の精神科医療の歩みを顧みれば明白である。

特集 側頭葉障害における言語症状

序論

著者: 永江和久

ページ範囲:P.680 - P.681

 本特集は第7回日本神経心理学会におけるシンポジウム「側頭葉障害における言語症状」と「ウェルニッケ失語」にて報告された論文で構成されている。目的はWernickeによって1874年に著わされたDer aphasischer Symptomen-Komplex(失語症候群)以来,常に論議の的となってきた多種多様の優位半球側頭葉障害による言語症状をまとめ,最近の知見のもとに検討し,再構成することである。
 歴史的に名高いWernicke失語は症候学的にも,責任病巣の上からも未だに興味深い多くの問題を蔵している。倉知正佳氏は,「脳梗塞による感覚失語の病像について」において,感覚失語の病豫を,発語は比較的多く,流暢で喚語困難を示し,意味性錯語が多く,聴覚的理解の障害,理解とほぼ平行する復唱,聴覚的受容より視覚的受容の方が安定し,書字は最も強く侵されていると述べ,自験10例を検討し,Wernickeが示した上側頭回に病巣が限局する症例では軽症のWernicke失語,中下側頭回に病巣が存在する症例では超皮質感覚失語への移行傾向があることを示した。

脳梗塞による感覚失語の病像について

著者: 倉知正佳 ,   鈴木重忠 ,   能登谷晶子 ,   小山善子 ,   山口成良

ページ範囲:P.682 - P.687

I.はじめに
 Wernicke失語は,聴覚的理解の障害をはじめ言語の諸側面にわたって多彩な症状を呈し,症例間の相違も少なくない。病変部位としては,近年のCTによる検討でもWernicke21)が記載した左の上側頭回後半を中心とする病巣が認められている8,16)。しかし,この領域に限局した梗塞はきわめてまれで,下頭頂小葉なども広く侵されていることが多い。
 他方,失語の病態生理機構の解明に主眼をおいたAlajouanineとLhermitte1)は,ジャルゴン失語の音素的と意味的成分の分析を行い,近年では神経言語学的に,聴覚的理解の性質や音声言語と文字言語との関連について,とくに音韻的側面と意味的側面からの研究が進められている。
 ここでは,Wernicke失語の臨床的特徴,病変分布と臨床像との関連,及び言語理解障害の性質の3項目について,主として自験例に基づいて述べることにする。

Wernicke失語の責任病巣

著者: 杉下守弘

ページ範囲:P.689 - P.692

 失語症の各種の臨床型,たとえば超皮質性運動失語,伝導失語などを認めない立場の研究者でもWernicke失語,Broca失語,全失認の3型は認めるのが普通である。このように,Wernicke失語はBroca失語とともに失語症の臨床型の代表的なものとして論ぜられてきた。
 しかし,その責任病巣や症状については,まだ究明すべき点が多々あるのはもちろんのことである。本稿にその二,三の問題について筆をすすめてみたい。

Wernicke失語—その病像と病巣

著者: 山鳥重

ページ範囲:P.693 - P.699

I.はじめに
 Wemicke失語の基本特徴は字性並びに語性錯語を伴う流暢な発語と言語理解の障害および復唱障害である(Goodglassら,1972)。本失語は臨床特徴のまとまりがBroca失語に比べて遙かに良く,臨床特徴に関してはほとんど異論の生じない失語と言って良い。かつてMarieが失語を論じて,Wernicke失語のみを真の失語であると主張したのは有名である。その病巣はWernickeの最初の記載以来,左大脳半球上側頭回後方に定位されており,その位置についても学者によって範囲に多少の差が認められるものの,本領域の中核性については大きな見解の差はない。
 ただ,病像が比較的把握しやすい割にはその発症の背景たる心理過程の障害が何であるかの把握はそれほど明確ではなく,学者,学派による見解の相違が認められる。現在までのところ,Wernicke失語の基本障害が言語の聴覚的理解障害にあるという点に関して大きな意見の違いはないが,聴覚的理解のうち,どのような過程が障害されているかについては大きく二つの立場がある。一つはLuria(1966,1977)に代表されるもので,その基本障害を音素弁別の異常とする。二つは音素弁別よりもさらに上位,すなわち音と意味との連合の過程(語彙理解)に障害があるとする(Goodglassら,1976;von Stockertら,1976;Blumsteinら,1977)。
 筆者は子この困難な問題の解決に向けて何らかの寄与をなしうるほどの新しい所見を持たないが,自験7例の定型的Wernicke失語の検討を土台に,本失語の病態について若干の私見を述べることにしたい。

ジャルゴン失語について—語新作ジャルゴン失語の5例

著者: 波多野和夫 ,   浜中淑彦 ,   大東祥孝 ,   大橋博司

ページ範囲:P.701 - P.710

I.はじめに
 ジャルゴン失語jargonaphasia(以下JAと略す)に相当する病像の最初の記載はJohann Gesner(1770)に遡るといわれている(Berlton, et al,1960)。神経心理学にジャルゴン(以下J)なる語が登場するのは1860年代の英語圏であり(Moutier,1908),同時にgibberish(Bastian,1869)なる語も用いられた。独語圏ではKauderwelsch(Wernicke,1874),choreatische Paraphasie,erbales Delirium,Wortgewirr(Kussmaul,1877)がJとほぼ同義に使用されたが,20世紀はじめ頃よりJの語が一般的に定着し始める(Wernicke,1906;Monakow,1905;Moutier,1908)。また英語圏では錯語paraphasiaという語が一般的になるまでJがその意味で用いられた形跡があり(Head,1926),仏語圏では音素性Jといえばしばしば伝導失語の病像を差す(Lhermitte, et al,1969)。
 JAの組織的研究はAlajouanine(1952,1956)によって始まった。彼によれば,Jとは"言語の意味的価値の病態否認的解体"desintegration anosognosique des valeurs semantiques du langageと規定され,"発話に意味を与える質の消失"が主要な要素であると定義される。さらに彼はJAに未分化型undifferentiated,失意味型asemantic,錯語型paraphasicの3型を区別し,これらが縦断的にこの順に経過すると述べた。未分化型とに"言語学的に意味のない言語常同症に近い"が,"次々に変動する語音の間断することなき流れ"であるとされるが,Alajouanine自身に適切な症例の提示がなく,Brown(1979)はこれを音素性JAと同一であるとして語新作JAとは一線を画して理解せんとし,Kertesz(1982)もこの見解を継承してWernicke失語の亜型(type 5)としてその独立性を認めている。失意味型と錯語型の特徴は,それぞれ語新作と語性錯語または誤用語misused wordであり,現在の英語圏ではそれぞれ語新作JA neologistic jargonaphasia(Kertesz, et al,1970,以下NJA)と意味性JA semanticjargonaphasiaと呼ばれ,むしろこれらの名称のほうが一般的になった(Brown,1972,1977;Buckingham, et al,1976等)。
 JAの亜型については,cohn et al(1958)の語音順型(=NJA),語順型,文順型の3型分類もある。

Verbal Stereotypy(Pick病の側頭葉型)

著者: 松原三郎 ,   榎戸秀昭

ページ範囲:P.711 - P.716

I.はじめに
 初老期変性疾患の1つであるPick病は病理学的には葉性萎縮を呈するために,特に前頭葉や側頭葉に関連した巣症状が発現しやすい。なかでも,失語症状の出現頻度は高く,小阪10)の本邦49例の報告によれば,39%に明らかな失語症状が認められ,76%に何らかの言語機能障害が認められている。しかし,Pick病が示す失語症と脳血管障害による失語症との間には幾つかの相違点を指摘できるようである。
 Pick病の示す言語機能障害については,C. Schneider(1927)19)に溯るが,彼はPick病の臨床経過を3期に分類している。I期では欲動の抑制欠如などの人格障害が生じ,II期では語漏,反響言語,滞続言語などが出現するするほか,健忘失語や感覚失語などの失語症が明瞭となる。特に滞続言語(stehende Redensarten)はPick病特有の言語症状として記載されている。III期では自発性の減退とともに言語は荒廃し,無動無言に至る。
 Luers(1947)12)はさらに詳細にPick病の経過と失語型について報告している。初期においては健忘失語を呈するが,次第に言語理解困難が著しくなり,感覚失語(実際には復唱が良好など,超皮質性感覚失語例が多い)を生ずる。さらに進行すれば全失語を呈するが,最終的には自発性低下の結果,緘黙に至る。この間C. Schneiderが指摘した反響症状や滞続言語などが生ずる。本邦においても,古川(1938)3)に続いて,倉知11),小阪10),羽田4)らの失語症状に関する報告があるが,いずれにおいても前頭葉や側頭葉由来の巣症状が相互に関連しながら言語症状を形成していると考えられた。したがって,Pick病の示す言語症状では,これらの巣症状を総合的にみてゆくことが必思われる。要と
 筆者に標題として与えられたverbal stereotypyにっいては,Alajouanine(1956)1)は広くsyllableや語の繰り返しとしてとらえ,各種失語症にみられる症状と考えている。一方,Pick病においてもverbal stereotypyが出現するという考え方もある(Hecaen & Albert)7)。ここではPick病における特有な言語症状として,C. Schneiderの記載に従って滞続言語に限って言及したい。

流暢型失語における復唱の特徴

著者: 本村曉

ページ範囲:P.717 - P.725

I.はじめに
 失語症におおる「復唱」の意義が注目されるようになったのは,Wernicke15)による伝導失語の提起以来である。爾来,「復唱」は主として失語症分類や失語症図式9),あるいは特定の症例の病変部位との関連で重視されてきた2,6)
 本稿では,流暢型失語の症例に筆者の考案した復唱検査を施行し,各失語症類型におおる復唱の特徴を明らかにし,そのなかで本シンポジアムの主題である「側頭葉」の損傷が復唱にいかなる影響をもたらすかについて,いくつか考察を加えたい。

側頭葉てんかんの言語障害

著者: 大橋博司 ,   河合逸雄

ページ範囲:P.727 - P.730

 てんかんによくみられる言語障害としては,失語,言語自動症speech automatism,言語停止speech arrest,発声vocalizationなどがよく知られている。後の2症状はPenfieldの刺激実験11,13),Hecaenらの症候論的検討(各発作が他の精神運動発作とどの程度に合併するかを調べた)7)により,必ずしも側頭葉起源でないことが明らかにされていた。
 著者らは側頭葉てんかんの言語障害について,半球優位,症候論(特に鑑別点)などを論じ,発作波の一部を提示したい。また,上記2症状以外に失語性の失読,失書などであまり注目されていない例も掲げることにする。

研究と報告

「フィナーレ創作法」による物語あそびの芸術療法的意義

著者: 清田一民

ページ範囲:P.731 - P.737

 抄録 フィナーレ創作法による物語あそびの芸術療法としての「技法」は3段階から成る。その第1は,読み聞かせた未完成の童話に語られているドラマの意味を「受容」すること,第2に,フィナレーを創作し「伝達」すること,第3は,集団的「推敲」に参加すること。
 この療法的「理論」として,①未完成の物語のもつ感動的効果,②創作をとおして,とかく一方通行的な患者の人間関係を,患者自ら発見的に改善する方向へ導く,③言語性の「受容」とそれに即応①た「伝達」の表現力を高める,④「感化的様式」の貧弱な日常的会話の改善,⑤治療者と患者は,物語を媒体として対等な人間関係のもとで連想的コミュニケーションを保つことができる,⑥集団的「推敲」によって,「ことば」の欠陥を自ら発見的に改善できる,などがあげられる。
 この療法の分裂病への「適応」としては,「慢性的寡言寡動状態」における「ことばの復活」が究極的目標である。

皮膚寄生虫妄想を呈した2症例

著者: 中川潔 ,   榎本貞保 ,   松本啓

ページ範囲:P.739 - P.745

 抄録 皮膚寄生虫妄想を呈する58歳の女性と,48歳のBehçet病に罹患している男性の2症例について報告した。症例1では,虫の体表を動く軌跡が実体的に知覚され,さらに,虫はてんとう虫様のものに表象されていた。虫に対して,財産問題で恨みを持つ兄が這わせたとの被害妄想的解釈や,虫が意地悪な気持を持っているようだとの被害的擬人化がなされていた。症例2は,Behçet病のために失明後,皮下に細長い虫が群生しているとの妄想が出現したが,Behçet病の原因およびあらゆる身体症状が,すべてその寄生虫に起因するとされ,説明妄想としての役割が大きかった。これら2症例について,多次元的立場から,発症時の精神的状況.発病の契機と症状選択,病前性格との関連,虫に対する意味づけと妄想の持つ役割,身体的条件などについて考察を加えた。

幼児自閉症,ダウン症状群の脳波学的研究—とくに光駆動反応について

著者: 斎藤秀光 ,   上埜高志 ,   松岡洋夫 ,   門間好道 ,   松江克彦 ,   大熊輝雄 ,   千葉英明 ,   谷口清

ページ範囲:P.747 - P.756

 抄録 13歳〜18歳の年齢帯にある正常児,中等度精神遅滞を示す自閉症児とダウン症児各6名について.閉瞼時脳波と光駆動反応を調べた。結果は,1)閉瞼時脳波は正常児群と自閉症児群で差がなく,ダウン症児群で徐波が多く,α帯域内にピークを示さぬ者を多く認めた。2)閉瞼時光駆動反応は正常児群と自閉症児群で両側後頭部から前頭部まで明瞭な反応を認めたが,ダウン症児群では後頭部振幅の著明な左右差や,中心部,前頭部での反応欠如を示す例が多く,高調駆動反応出現率の低下もみられた。3)図形刺激時光駆動反応は自閉症児で後頭部振幅の低下がみられた。4)駆動上限刺激頻度は,閉瞼時で正常児群>自閉症児群>ダウン症児群,図形刺激時で正常児群≒ダウン症児群>自閉症児群の順であった。以上より,ダウン症児は脳障害は存在するが,注意過程は正常児同様良好で,自閉症児は脳障害を示す所見に乏しいが,注意と関連する覚醒水準制御機構の障害が示唆された。

抗うつ薬による悪性症候群類似の1症例—治療的追跡調査より

著者: 小片寛 ,   清水一芳

ページ範囲:P.757 - P.765

 抄録 抗精神病薬によって発熱,錐体外路症状,自律神経症状などが稀ながら急激に発症し,それは悪性症候群として知られている。
 報告例は双極性うつ病の男性で8年間に抗うつ薬常用量で,抗精神病薬による悪性症候群と症候学的には同じ病像を3回発症した。主な使用薬物は,第1回目がimipramine,第2回目がmaprotiline,第3回目がmianserinとamitriptylineであった。治療経験から,本症状群の発症要因は抗うつ薬の抗コリン作用のみには求められなかった。症状群の重症度は初期発熱から与薬中止までの日数に関連し,抗うつ薬の注射がtriggerともなっていた。発症条件はうつ病性亜昏迷と軽症糖尿病との関与が推定された。
 本症状群は,臨床像ならびに臨床検査所見からも,悪性過高熱症と悪性症候群とに類似していることを指摘した。

短報

Choreo-athetosis様不随意運動を伴った悪性症状群の1症例

著者: 長友医継 ,   渡辺雅子 ,   滝川守国 ,   松本啓

ページ範囲:P.766 - P.768

I.はじめに
 向精神薬による重篤な副作用の一つに悪性症状群があり,1960年代よりフランスをはじめ各国で報告されてきた4〜6,11)。本症状群は持続性高熱,錐体外路症状および自律神経症状などの身体症状に昏迷,緘黙などの精神症状を伴い,時に死に至るケースも報告されているが7,11,12),その発生機序など不明な点が多く残されている。
 著者らは,精神分裂病の患者にhaloperidol(以下HLPと略す)の筋肉内注射を行った結果,悪性症状群の症状を発呈じ,その経過中にchoreo-athetposis様不随意運動が出現じた1症例を経験じたので若干の考察を加えて報告する。

炭酸リチウム,抗精神病薬の併用中にみられた血小板減少性紫斑病

著者: 今泉寿明 ,   稲田脩

ページ範囲:P.769 - P.771

I.はじめに
 Lithium carbonate,levomepromazine,haloperidolを服用中,血小板減少性紫斑病を併発した症例を経験した。lithium carbonate(以下Li)は幹細胞を介した顆粒球増多作用を有し,血液疾患の治療薬としても注目を集めるが,本例のような血小板系統への選択的な抑制作用は報告されていない。また,向精神病薬の副作用として血小板減少が出現した報告も数少ない。本症例は薬剤との因果関係を確定し得たものではないが,興味深い副作用の発現とも考えられるので,若干の考察を加え報告する。

うつ病における自律神経機能の定量的分析の試み

著者: 今岡健次 ,   井上寛 ,   井上雄一 ,   原田豊 ,   挾間秀文 ,   白石義光

ページ範囲:P.772 - P.775

I.はじめに
 うつ病において自律神経症状を中心とした身体症状はしばしば出現するものであるが,その程度判定は必ずしも容易でなく,主観的要素が大きく客観的評価が困難である。最近糖尿病患者において自律神経機能を心電図R-R間隔を測定するこで求めようとする試みが報告2,4,6)されている。われわれはこの方法を用いてうつ病患者の自律神経機能障害の定量的分析を試みたので報告する。

動き

第2回汎太平洋薬物・アルコール会議報告

著者: 宮里勝政

ページ範囲:P.776 - P.779

 第2回汎太平洋薬物・アルコール会議Second Pan Pacific Conference on Drugs and Alcoholは1983年11月27日から12月3日まで香港において開催された。本会議の第1回は1980年にオーストラリアのカンベラで“Man, Drugs and Society―Current Perspectives”をテーマに行われた。今回の基本テーマは“Towards a Coordinated Approach:Current Issues and Future Directions”で,発表者だけでも16カ国にわたり,アルコール・薬物依存について,現在の問題が何か,今後の方向,法律,教育,予防,治療,リハビリテーション,社会復帰,国際協力などについて幅広く討議された。午前中はPlenary session,午後は4つのworkshopに分かれ,連日それぞれの小テーマのもとに活発な討議が交された。以下,最終日に行われたまとめを中心に本会議での概要を報告する。

基本情報

精神医学

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-126X

印刷版ISSN 0488-1281

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