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特集 側頭葉障害における言語症状
序論
著者: 永江和久1
所属機関: 1九州労災病院脳卒中診療科
ページ範囲:P.680 - P.681
文献購入ページに移動 本特集は第7回日本神経心理学会におけるシンポジウム「側頭葉障害における言語症状」と「ウェルニッケ失語」にて報告された論文で構成されている。目的はWernickeによって1874年に著わされたDer aphasischer Symptomen-Komplex(失語症候群)以来,常に論議の的となってきた多種多様の優位半球側頭葉障害による言語症状をまとめ,最近の知見のもとに検討し,再構成することである。
歴史的に名高いWernicke失語は症候学的にも,責任病巣の上からも未だに興味深い多くの問題を蔵している。倉知正佳氏は,「脳梗塞による感覚失語の病像について」において,感覚失語の病豫を,発語は比較的多く,流暢で喚語困難を示し,意味性錯語が多く,聴覚的理解の障害,理解とほぼ平行する復唱,聴覚的受容より視覚的受容の方が安定し,書字は最も強く侵されていると述べ,自験10例を検討し,Wernickeが示した上側頭回に病巣が限局する症例では軽症のWernicke失語,中下側頭回に病巣が存在する症例では超皮質感覚失語への移行傾向があることを示した。
歴史的に名高いWernicke失語は症候学的にも,責任病巣の上からも未だに興味深い多くの問題を蔵している。倉知正佳氏は,「脳梗塞による感覚失語の病像について」において,感覚失語の病豫を,発語は比較的多く,流暢で喚語困難を示し,意味性錯語が多く,聴覚的理解の障害,理解とほぼ平行する復唱,聴覚的受容より視覚的受容の方が安定し,書字は最も強く侵されていると述べ,自験10例を検討し,Wernickeが示した上側頭回に病巣が限局する症例では軽症のWernicke失語,中下側頭回に病巣が存在する症例では超皮質感覚失語への移行傾向があることを示した。
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