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文献詳細

雑誌文献

精神医学26巻7号

1984年07月発行

特集 側頭葉障害における言語症状

脳梗塞による感覚失語の病像について

著者: 倉知正佳1 鈴木重忠2 能登谷晶子2 小山善子1 山口成良1

所属機関: 1金沢大学医学部神経精神医学教室 2金沢大学医学部耳鼻咽喉科学教室

ページ範囲:P.682 - P.687

文献概要

I.はじめに
 Wernicke失語は,聴覚的理解の障害をはじめ言語の諸側面にわたって多彩な症状を呈し,症例間の相違も少なくない。病変部位としては,近年のCTによる検討でもWernicke21)が記載した左の上側頭回後半を中心とする病巣が認められている8,16)。しかし,この領域に限局した梗塞はきわめてまれで,下頭頂小葉なども広く侵されていることが多い。
 他方,失語の病態生理機構の解明に主眼をおいたAlajouanineとLhermitte1)は,ジャルゴン失語の音素的と意味的成分の分析を行い,近年では神経言語学的に,聴覚的理解の性質や音声言語と文字言語との関連について,とくに音韻的側面と意味的側面からの研究が進められている。
 ここでは,Wernicke失語の臨床的特徴,病変分布と臨床像との関連,及び言語理解障害の性質の3項目について,主として自験例に基づいて述べることにする。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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