精神医学26巻7号

1984年07月発行

記事購入ページに移動

短報

炭酸リチウム，抗精神病薬の併用中にみられた血小板減少性紫斑病

著者： 今泉寿明¹ 稲田脩²

所属機関： ¹浜松医科大学精神神経医学教室 ²可知病院

ページ範囲：P.769 - P.771

I．はじめに
　Lithium carbonate，levomepromazine，haloperidolを服用中，血小板減少性紫斑病を併発した症例を経験した。lithium carbonate（以下Li）は幹細胞を介した顆粒球増多作用を有し，血液疾患の治療薬としても注目を集めるが，本例のような血小板系統への選択的な抑制作用は報告されていない。また，向精神病薬の副作用として血小板減少が出現した報告も数少ない。本症例は薬剤との因果関係を確定し得たものではないが，興味深い副作用の発現とも考えられるので，若干の考察を加え報告する。