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抄録 生活療法は,その一部をなす作業療法を含めて,わが国の精神科医療に古い伝統をもつ治療活動である。にもかかわらず,近年不当におとしめられた時期があった。生活療法を真にあるべき姿に戻して,その理念と活動を復権する必要がある。生活経験の学習により,主体的な生活の獲得を図ろうとする生活療法は,精神療法,身体療法と並んでその意義を確立しなければならない。生活障害の観点は,生活療法の目標をリハビリテーションに一致させる。課題の段階的拡大,場面転換による役割稽古,社会的学習の3つの操作が生活療法の主軸であり,この間に障害の受容も果たされる。生活療法には,病院の内外を問わず,治療者集団による社会的支持システムが不可欠であるが,ここには組織対個人という矛盾的契機が外在し,また訓練対啓発という外見上背反的契機が内在している。これらを実践により克服することが,生活療法の課題である。
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