研究と報告
ハンチントン舞踏病親子例におけるポジトロンCTイメージグ
著者:
児玉和宏1
宍戸文男2
井上敞1
山中正雄3
馬場章4
田町誓一5
山崎統四郎6
池平博夫6
舘野之男6
吉田勝哉7
志津雄一郎8
石郷岡寛8
佐藤甫夫1
佐藤壱三1
所属機関:
1千葉大学医学部神経精神医学教室
2秋田県立脳血管研究センター
3中村病院
4旭中央病院
5千葉大学医学部脳神経外科学教室
6放射線医学総合研究所
7千葉大学医学部第三内科学教室
8石郷岡病院
ページ範囲:P.851 - P.859
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抄録 ポジトロソCTにより,脳の三次元的な局所循環・代謝の測定が可能になり,既に,多くの脳神経疾患,精神疾患に臨床利用されている。我々は,ハンチントン舞踏病の親子例を対象に,C15O2,15O2,18FDGを使用したポジトロンCTイメージングを行った。その結果は,本疾患においては,大脳皮質の広汎な萎縮が成立する以前に線条体の萎縮が起こること,大脳皮質の萎縮は左右半球それぞれの皮質において不均一に進行することなどを示唆するものであった。本疾患,痴呆および精神分裂病における生化学的・薬理学的研究,ポジトロソCT所見に関する文献的考察を行った。ポジトロンCTによる神経伝達物質受容体描出に適した標識ligandの開発とポジトロンCT装置の性能の向上によって,ドーパミン受容体の描出が可能となった。したがって,今後,ハチントン舞踏病におげるドーパミン受容体の役割について新しい知見が得られる可能性を指摘した。