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文献詳細

雑誌文献

精神医学26巻8号

1984年08月発行

文献概要

研究と報告

遅発性ジスキネジアの発症要因について—ロボトミーによる影響を中心に

著者: 安田素次1 小山司1 木村直樹2 本間均2 石坂直己2

所属機関: 1北海道大学医学部精神医学教室 2市立札幌静療院

ページ範囲:P.861 - P.866

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 抄録 平均年齢55歳の男性で向精神薬を約17年間服薬してきた精神分裂病者34名を対象に,遅発性ジスキネジア(TD)の検討を行なった。そのうちロボトミーの既往のある患者は21例,ない患者は13例である。全体として加齢とともにTDが増加する傾向を認めたが,40〜60歳においては危険率5%の有意水準でロボトミーの既往のある群にTD発現率が高かった。向精神薬の影響については,総服薬量よりも評価時1日服薬量が既往1日平均服薬量より少ない症例にTDが有意に多く出現した。またその際にもロボトミー既往群に有病率が高い傾向がうかがわれた。一方,TDの範囲については,顔面部にとどまらず四肢のジスキネジアの合併を来す例がロボトミー既往群に多く,特に上肢のジスキネジアが有意に多かった。しかも後者の出現が加齢および向精神薬の服薬状況と直接に関連のないことが注目された。これらの所見から遅発性ジスキネジアの発現機制について考察を加えた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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