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文献詳細

雑誌文献

精神医学26巻8号

1984年08月発行

文献概要

短報

アルコール依存症に伴ううつ状態を左右する因子について—Palo Alto Veterans Administration病院における治療プロゲラムに関与して

著者: 光定道子1

所属機関: 1東邦大学医学部精神神経科

ページ範囲:P.873 - P.877

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I.緒言
 アルコール依存症患者の中には著明なうつ症状を呈する患者がしばしばみられる1〜3)。依存症状治療直後のアルコール依存症者がうつ状態を呈する頻度は3%から98%と報告によりばらつきがみられる4,5)。このデータのばらつきは各々の研究における患者集団の違いやうつ状態の診断基準の相違又は使用した精神症状評価尺度の相違を反映していると考えられる。アルコール依存症者におけるうつ状態の評価の困難さについては最近改めて論じられている6)
 うつ状態の原因が何によるかにかかわらず7〜10)短期アルコール依存症治療プログラムにおいてほとんどのアルコール依存症者のうつ状態は自然に改善する11)。しかし退院時もそれらの患者のうちの何名かは依然としてかなり重篤なうつ状態を示している13,14)。頑固なうつ状態は治療の妨げとなるだけでなく,何回も入退院を繰り返すことの原因の一つとなりうる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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