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文献詳細

雑誌文献

精神医学26巻8号

1984年08月発行

文献概要

短報

右側頭葉に発作波焦点をもつ側頭葉てんかん患者のBenton視覚記銘検査成績の特徴

著者: 増井寛治1 丹羽真一1 安西信雄1 亀山知道1 斎藤治1

所属機関: 1東京大学医学部精神医学教室

ページ範囲:P.879 - P.881

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I.はじめに
 われわれは,てんかん性発作波焦点の存在が発作間歇時に正常な脳機能に及ぼす影響に関心をもち,特に側頭葉てんかん(TLE)患者が記憶機能障害を訴えることが多いという臨床的観察に基づいて,TLE患者を対象として,てんかん性発作波焦点存在側と記憶機能障害の特徴との関係―つまり,焦点側の違いにより,言語性と非言語性記憶機能の障害に差異があるか否かを神経心理学的検査を用いて研究した。その結果,発作波焦点が左側頭葉に存在する群(左焦点群)では言語性記憶機能の障害が右焦点群より相対的に強く,また右焦点群では非言語性記憶機能の障害が左焦点群よりも強いことを明らかにした1)
 われわれはこれまでの研究で非言語性記憶機能を検討する検査法にBenton視覚記名検査を用いている。先に報告したBenton視覚記銘検査の結果1)をさらに図版の右半分の誤謬数(右誤謬数)および左半分の誤謬数(左誤謬数)と発作波焦点側との関係について検討した。
 その結果,右焦点群で右誤謬数が左誤謬数よりも有意に多く,単に記憶機能障害だけでなく,記憶すべき刺激図版を探索するいわば注意機能障害も反映されていることを示す知見を得たので,先の報告に正常対照群を追加して報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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