文献詳細
研究と報告
文献概要
抄録著者たちは酩酊時にのみ反復して,短時間出現する幻覚症の既往を有する一鑑定事例を報告し,その疾病論的位置づけを文献学的に追求し,「病的酩酊幻覚症型」(幻覚症型酩酊)の可能性を論じた。また病的酩酊の概念と酩酊分類の変化を19世紀以降の独,仏の文献を中心に明らかにし,若干の新しい知見を報告した。われわれが本論において提唱している「病的酩酊幻覚症型」に相当する病的酩酊の存在について述べているのはHeilbronner(1901年),Hoff(1954年),Hirschmann(1964年)のごく限られた研究者のみである。われわれはまた「病的酩酊幻覚症型」の診断基準を明らかにした。過去に報告された事例ではMayら(1953年)によって報告されている一例がわれわれの報告例とともにこの診断基準を完全に充たしている。
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