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研究と報告

自閉症児と微細脳機能障害児のserotonin代謝と視床下部下垂体機能

著者: 星野仁彦1 橘隆一1 渡辺実1 村田繁雄1 横山富士男1 金子元久1 八島祐子1 熊代永1

所属機関: 1福島県立医科大学神経精神医学教室

ページ範囲:P.937 - P.945

 抄録 自閉症および微細脳機能障害(MBD)の脳内serotonin代謝,特に視床下部-下垂体系でhormone分泌調節機構に関与するserotonin代謝を検討するため,自閉症6例,MBD6例および正常対照群9例を対象にしてL-5HTP(3mg/kg)を経口的に投与し,その前後の血中serotonin,prolactin(PRL)などの変化を経時的に測定して次の結果を得た。
 1)L-5HTP負荷前の血中serotonin濃渡は,自閉症群が正常対照群より有意の高値を示した。負荷後は自閉症群では増加反応が抑制され,早く減少する傾向がみられ,MBD群ではこの増加反応の開始が遅延していた。
 2)L-5HTP負荷前の血漿PRL濃度は,自閉症およびMBDの両群とも正常対照群より有意の低値を示した。負荷後の血漿PRL濃度は,serotoninの場合と同様の分泌反応のパターンを示した。
 3)以上から,自閉症とMBDの両群とも脳内のserotonin代謝や視床下部-下垂体系のPRLの分泌が障害されているが,両群のscrotonin代謝の障害部位は異なっていることが示唆された。

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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