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文献詳細

雑誌文献

精神医学26巻9号

1984年09月発行

文献概要

研究と報告

リチウムとカルバマゼピン併用による躁うつ病相予防効果の検討

著者: 小村文明1 岸本朗1 松林実1 筒井俊夫3 挾間秀文1 梅沢要一2 岡崎哲也2 福間悦夫3 柏木徹3 土江春隆4 久葉周作4

所属機関: 1鳥取大学医学部神経精神医学教室 2島根県立湖陵病院 3国立療養所鳥取病院 4安来第一病院

ページ範囲:P.963 - P.970

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 抄録 両極型感情病に対して炭酸リチウム(Li)とカルバマゼピン(CBZP)併用療法の病相予防効果について検討を行った。対象として両薬物の併用期間が延べ18ヵ月(1年6カ月)以上にわたり,併用以前の病相出現状況から併用時の予防効果が判定可能な26症例を選んだ。その結果,26症例中25例(96.2%)に併用療法の予防効果がみられ,うち6例(23.1%)においては躁,及びうつ病相の完全消失,19例(73.1%)では病相の出現頻度の半減,もしくは重症度の著しい軽快が認められた。また併用による効果がまったくみられなかった症例は1例(3.8%)に過ぎなかった。両薬物併用療法は強力な予防効果を発揮し,それぞれの単剤による治療が無効な症例でも,併用されて初めて著しい予防効果が現れる,いわゆる協力作用が認められた。LiとCBZPの併用療法では,Liの血中濃度が低値でも予防効果が減少しなかった。このことから,Li・CBZP併用療法はLiの有効性を保ち,Liの毒性を減じる治療法となりうる可能性を示した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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