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文献詳細

雑誌文献

精神医学26巻9号

1984年09月発行

研究と報告

うつ病における自律神経機能の定量的分析の試み(第II報)

著者: 井上寛1 今岡健次1 挾間秀文1

所属機関: 1鳥取大学医学部神経精神医学教室

ページ範囲:P.971 - P.976

文献概要

 抄録 うつ病者の自律神経機能障害を客観的に把握することを目的として,うつ病者19名について心電図R-R間隔変動係数CV値とともに,血漿noradrenaline(Na),adrenaline(Ad),cyclic AMP,cyclic GMPを測定した。その結果,うつ病病相期ではCV値,cyclic AMPが低値を示す傾向がある。うつ病寛解期ではCV値,cyclic AMP,cyclic GMPがいずれも病相期に比して有意に上昇を示した。つぎに,うつ病病相期にmethylcolabamin(500μg)を筋肉内投与すると,CV値の有意な上昇を示した。しかし,cyclic AMP,cyclic GMPに対して影響を与えなかった。また,うつ病寛解期にmethyl-colabaminを投与してもCV値,NA,cyclic AMPへの影響は特になく,cyclic GMPに上昇傾向を認めたのみであった。以上の結果よりうつ病者では視床下部-下垂体系を含めた中枢機能抑制があると推測された。うつ病者にCV値,血漿cyclic AMP,cyclicGMPを測定することは自律神経機能を客観的に把えることができるばかりでなく,病態生理を反映した経過を知る一つの方法であると考えられる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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