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文献詳細

雑誌文献

精神医学26巻9号

1984年09月発行

文献概要

研究と報告

急性腎不全,健忘症状群を呈したセデス依存の1例

著者: 加藤政利1 金子宏明1 宮里勝政1 大原健士郎1

所属機関: 1浜松医科大学精神神経医学教室

ページ範囲:P.977 - P.981

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 抄録22年間におよぶセデスの長期連用の末,急性腎不全およびその後の健忘症状群を呈した1例を経験した。症例はセデス錠からセデスGへと移行したと考えられるが,当初のセデス錠1日6錠から最近1年間のセデスG1日20〜40包へと服用量は増大していった。両剤の共通成分としてはフェナセチンとカフェインがあるが,フェナセチンの総服用量は8.2kgにも及び,このフェナセチンによる間質性腎炎が腎不全の原因であると考えられた。腎不全後,健忘症状群が持続して認められたが,この健忘症状群は腎不全以外の原疾患は認められず,また心因性要素も否定的であり,腎不全を介した二次的な症状と考えられた。セデス依存に関してはカフェインの依存作用も関係するものと思われた。セデスのようなかなり大衆的な鎮痛剤でも長期連用によりこのような重篤な腎障害を引き起こす可能性のあることに,われわれは充分な注意を払わなければいけないと感じさせられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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