icon fsr

雑誌詳細

文献概要

展望

音楽と神経心理学—第2回

著者: 渡辺俊三1 北條敬1 田崎博一1 佐藤時治郎1

所属機関: 1弘前大学医学部神経精神医学教室

ページ範囲:P.6 - P.14

VII.臨床
 失音楽症の臨床を文献的にみると,失音楽症の約10分の7は失語症を有しているという7)。しかも,運動性の失語症では音楽障害も表出性のもので,受容性の音楽障害は語ろうとかWernicke失語がみられ,音楽性の失書7例中4例が失語面で失書がみられ,音楽性失読6例中3例に言語性の失読をみたという。健忘失語では音楽面はほとんど障害されていなかったが曲名を思い出せなかった例もある。
 以上は失音楽症と失語症の質的関連の高いものであるが,逆にその数は少ないものの質的に異なる関係のものがある。前述のEdgren28)の第17例は失語面で語唖・失書・語盲を有しているが,失音楽症ではメロディーろうという聴覚的障害がみられる。Kleinら(1956)63)の語ろうの例で復唱の障害があったが,聞きなれたメロディーはほとんど認知できた。

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?