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研究と報告
罪責体験について—退行性の抑うつ精神病例の検討を介して
著者: 伊東昇太1 古川正1
所属機関: 1昭和大学藤が丘病院精神神経科
ページ範囲:P.15 - P.21
文献購入ページに移動 抄録 「審判」の概念に注目しながら,罪責体験についての備忘録を用意し,この体験が民族の心性にかかわる問題であることをまず指摘した。ついで当該体験の顕著な,しかも退行期から老年期に至る8年間の経過を追跡した内因性の抑うつ精神病例を介して,この体験の変遷について検討した。すなわちその方向性と姿勢制禦に触れ,自己叱責と他者への責任転嫁が区別された。しかも心的機制として前者の免責棄却と後者の免罪という体験の独立と分離化が妄想性の「外在化」現象であるとみなした。
同時に,この年齢域の症例のいかにもプレグナントなことが罪責体験を照準におくことで確認され,退行性の加年者の精神病態の説明の様々な可能性の許される理由についても附言した。
同時に,この年齢域の症例のいかにもプレグナントなことが罪責体験を照準におくことで確認され,退行性の加年者の精神病態の説明の様々な可能性の許される理由についても附言した。
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