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文献詳細

雑誌文献

精神医学27巻1号

1985年01月発行

文献概要

研究と報告

精神分裂病患者の病前の言語行動—とくに関係文についてのアンケートの分析から

著者: 臼井宏1 土居通哉2 佐藤達彦1 池田マリ1 佐藤直美1 立壁典泰1 田代芳郎1 多田幸司1 田辺義貴1 越川法子2 日下部陽子1 木戸幸聖1

所属機関: 1日本大学医学部精神神経科学教室 2防衛医科大学校精神科学教室

ページ範囲:P.23 - P.33

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 抄録 79例の精神分裂病患者とその親に患者の病前の雑談についてのアンケートを実施し,それを247名の正常対照群と比較した。分裂病者は小児期からおとなしく,成長後も家族と積極的に雑談をせず,話題に乏しい傾向があり,その結果,対人的社会行動としての,人間関係の形成,維持,破壊に影響を与える文,つまり関係文を習得する機会に乏しいと思われる。病前の彼らは友人に冗談を言ったり,試験,趣味,芸能人などについて発言することはあるが,他人の批判,噂,悪口,陰口などの関係文を避ける傾向がある。そのため,対人関係に関する欲求不満は解消されず,他者の発言する関係文の否定的機能にばかり注意が向き,その真意を理解せず,対人関係についての認知を歪める結果になると考えられる。多くの分裂病者が,批判される,噂される,悪口や陰口をいわれると体験するが,その背景には以上のような病前の関係文に対する態度が関連していると考えた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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