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研究と報告
熱性けいれんにおける外的要因の臨床的意義
著者: 坪井孝幸1 岡田滋子1
所属機関: 1東京都神経科学総合研究所社会医学研究部遺伝学研究室
ページ範囲:P.51 - P.57
文献購入ページに移動 抄録 一般集団3歳児17,044名を対象とし,熱性けいれん児1,406名について,発症,臨床症状および予後に及ぼす外的環境要因の役割について分析した。出生前・周産期・出生後におけるさまざまな外的要因のうち難産,新生児仮死,臍帯巻絡は熱性けいれん発症の危険因子であることが示された。外的要因の関与をもつ熱性けいれん小児は,同時に遺伝負因が高率であり,また発作を5回以上繰り返すものが多かった。外的要因のみが3歳以後の熱性けいれんの再発や無熱性けいれんへの移行の危険率を高めるとはいえない。しかし,外的要因関与の頻度は,熱性けいれんから無熱性けいれんへ移行した小児で高率であり,熱性けいれんのみにとどまるものでは低率であり,正常対照群に比較してやや高い程度であることが示された。
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