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文献詳細

雑誌文献

精神医学27巻10号

1985年10月発行

文献概要

研究と報告

ターナー症候群の脳波学的研究

著者: 岡田滋子12 坪井孝幸1

所属機関: 1東京都神経科学総合研究所社会医学研究部遺伝学研究室 2順天堂大学医学部精神医学教室

ページ範囲:P.1123 - P.1133

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 抄録 デンマークのターナー症候群64名と,年齢をマッチさせた対照群62名について脳波学的研究を行なった。ターナー症候群の脳波基礎律動の特徴は,①α波は周期が速く(10.5Hz以上),低振幅(20μV以下),少量(30%以下)で汎性に出現,②β波は周期が遅く(14〜18Hz),比較的高振幅(20〜50μV以上),多量(50%以上)で汎性に出現,③θ波は多量(30%以上)に出現する,④優勢律動はより速く,加齢による変化がより顕著である。以上の諸特徴は,45, X核型群で他の核型群に比べより定型的である。著明な左右差がターナー症候群15名,対照群3名に認められた(P<0.01)。左右差は後頭部(P<0.01)と頭頂部(P<0.02)で特に顕著であった。脳波の判定結果には両群間に大きな差は認められなかった。
 これら脳波所見と神経心理学的検査結果との関連について考察し,ターナー症候群は脳のとくに右半球後頭部および頭頂部に機能的障害を有すると結論した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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