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文献詳細

雑誌文献

精神医学27巻10号

1985年10月発行

研究と報告

無酸素脳症後,周期性同期性異常波(PSD)からα昏睡に移行した1例

著者: 岩淵潔1 宮内利郎1 横井晋1 保坂紘一2

所属機関: 1横浜市立大学医学部精神医学教室 2神奈川県総合リハビリテーションセンター精神神経科

ページ範囲:P.1159 - P.1164

文献概要

 抄録 急激な無酸素脳症後,脳波で周期性同期性異常波(PSD)からα昏睡に移行した脳幹障害を伴わない症例を経験した。症例は59歳男性。窒息のため蘇生を施し,約40分後に自発呼吸が回復したが昏睡状態であった。約1時間後から3日間,眼球を含む全身のmyoclonusが出現し,その際脳波上で3〜5秒続く鋭波,棘波,高振幅徐波を含む突発波が,1.5〜2秒間隔で周期的に繰り返し,その間挿波は電気活動に乏しい平坦波を示すPSDを呈した。diazepamの静注ではPSDを抑制できなかった。PSDの消失と共に,前頭部優勢の10Hz,30μVのα昏睡を示し,両波型とも刺激にも反応しなかった。α昏睡を3日間呈した後,低振幅脳波に至った。脳幹障害は認められなかった。その1カ月後から約2ヵ月間,時にpcriodic spikingを前頭部に示すことがあったが,それも消失し平坦脳波となった。両波型が急激な無酸素脳症後に同一症例の過程でみられた詳細な報告はなく,その発生機序につき示唆を与えると思われる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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