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文献詳細

雑誌文献

精神医学27巻10号

1985年10月発行

研究と報告

Lacunar Stateによる脳血管性痴呆の臨床病理学的検討—20剖検例の病巣分布と症状の対比

著者: 石井惟友1 西原康雄2 今村司2

所属機関: 1産業医科大学第1病理 2鞍手共立病院

ページ範囲:P.1185 - P.1193

文献概要

 抄録 Lacunar stateによる脳血管性痴呆20剖検例について,その病巣分布と臨床症状との関連について検討した。臨床的には高血圧,意識障害を伴わない卒中発作,回復傾向のつよい不全片麻痺ないし単麻痺,錐体路徴候,小刻み歩行,構音障害,尿失禁,意欲障害,感情障害,情動失禁,病識・人格の保持,夜間せん妄,末期の屈曲性対麻痺,akinetic mutismなどであった。脳病理所見は大脳白質,基底核,内包,視床,脳梁,橋などに多発するlacuneと大脳白質の広汎な不全軟化巣であった。Lacuneは側脳室前角周囲白質,脳梁前部,尾状核頭部,被殻,内包前脚など大脳の前半分に好発しており,不全軟化巣も前頭葉白質により著しい傾向があった。Lacunar stateの患者にみられる臨床症状の多くは前頭葉病巣によるものであると理解でき,病巣分布とよく一致した。症状の発現にはlacuneのみでなく不全軟化巣の有無が大きく影響する可能性を述べた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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