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文献詳細

雑誌文献

精神医学27巻10号

1985年10月発行

文献概要

研究と報告

脳の覚醒機構に及ぼすベンゾジアゼピン系睡眠薬の影響—450191-Sとアンタゴニスト(Ro 15-1788)を用いた覚醒反応の解析

著者: 苗村育郎12 伊藤高司3

所属機関: 1東京大学医学部精神医学教室 2現在:国立精神衛生研究所 3日本医科大学数学教室

ページ範囲:P.1195 - P.1207

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 抄録 ベソゾジアゼピンアンタゴニスト(Ro 15-1788)を用いて,ベンゾジアゼピン系睡眠薬(450191-Sおよびflunitrazepam)の誘発する睡眠と,そこからの覚醒過程を担う脳の反応様式を,11名の正常成年男子を被検者とした一連の終夜ポリグラフィーによって解析した。
 その結果,睡眠薬の投与時から約6時間後にピークを持つ強い覚醒機序が生じていることが示され,さらにこの作用は,睡眠の日内リズムとの関係および断眠負荷により鋭く変化することが明らかになった。
 またこれらの現象は睡眠薬による睡眠誘発力や"睡眠圧"のみでは説明できず,新たに複合的な概念として"覚醒圧"を考え,両者のバランスモデルを想定することで整合的に理解されることを示した。
 さらに本実験結果の持つ意義を臨床における睡眠薬の使用に敷衍して考察し,反跳性不眠や逆説睡眠および徐波睡眠の抑制機序に関して意見を述べた。なお睡眠薬に関連して生じる脳の覚醒機構の作動を実体的なものとして証明したのは本研究が初めてと思われる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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