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研究と報告
脳の覚醒機構に及ぼすベンゾジアゼピン系睡眠薬の影響—450191-Sとアンタゴニスト(Ro 15-1788)を用いた覚醒反応の解析
著者: 苗村育郎12 伊藤高司3
所属機関: 1東京大学医学部精神医学教室 2現在:国立精神衛生研究所 3日本医科大学数学教室
ページ範囲:P.1195 - P.1207
文献購入ページに移動その結果,睡眠薬の投与時から約6時間後にピークを持つ強い覚醒機序が生じていることが示され,さらにこの作用は,睡眠の日内リズムとの関係および断眠負荷により鋭く変化することが明らかになった。
またこれらの現象は睡眠薬による睡眠誘発力や"睡眠圧"のみでは説明できず,新たに複合的な概念として"覚醒圧"を考え,両者のバランスモデルを想定することで整合的に理解されることを示した。
さらに本実験結果の持つ意義を臨床における睡眠薬の使用に敷衍して考察し,反跳性不眠や逆説睡眠および徐波睡眠の抑制機序に関して意見を述べた。なお睡眠薬に関連して生じる脳の覚醒機構の作動を実体的なものとして証明したのは本研究が初めてと思われる。
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