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研究と報告
文献概要
抄録 精神分裂病の2症例にみられた独語妄想の臨床的特徴について報告した。
症例1は対人恐怖ののちに独語妄想を含む分裂病症状の発現をみたが,治療により軽快し,良好な社会適応を示した。症例2は数年間の幻覚妄想状態ののちに独語妄想を生じ,人格水準低下が急速に進行した。
両症例の発病に至る経過,分裂病症状の特徴を吟味するとともに,独語妄想の内容や性状について強迫性,確信性,自我所属性,関係妄想性,状況依存性,対人性などの観点から比較検討した。
その結果,両症例の独語妄想には,関係妄想性,状況依存性,対人性の点において,対照的な相違が認められた。症例1のそれは対人恐怖の症状構造と類似しており,症例2では自己拡散的色彩が顕著であった。
症例1は対人恐怖ののちに独語妄想を含む分裂病症状の発現をみたが,治療により軽快し,良好な社会適応を示した。症例2は数年間の幻覚妄想状態ののちに独語妄想を生じ,人格水準低下が急速に進行した。
両症例の発病に至る経過,分裂病症状の特徴を吟味するとともに,独語妄想の内容や性状について強迫性,確信性,自我所属性,関係妄想性,状況依存性,対人性などの観点から比較検討した。
その結果,両症例の独語妄想には,関係妄想性,状況依存性,対人性の点において,対照的な相違が認められた。症例1のそれは対人恐怖の症状構造と類似しており,症例2では自己拡散的色彩が顕著であった。
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