icon fsr

雑誌詳細

文献概要

研究と報告

産褥期うつ病の臨床的研究

著者: 高橋滋1 川原伸夫1 宮永和夫1 狩野正之2 西村信一2 神岡芳雄2

所属機関: 1群馬大学医学部神経精神医学教室 2佐久総合病院神経科

ページ範囲:P.1247 - P.1253

 抄録 分娩後6カ月以内に発症した産褥期うつ病30例を臨床的に検討した。分娩時年齢は平均28.5歳であった。分娩回数は初産が60.O%を占めた。妊娠時障害は13.3%,分娩時障害は23.3%,新生児障害は23.3%であったが,いずれもその出現率において,年齢相応の正常対照群との間に有意な差を認めなかった。精神症状では,抑うつ気分,行為制止に加えて睡眠障害,不安・焦燥,罪責念慮が主症状であった。病前性格は執着気質が80.0%で最も多く,遺伝負因を30.0%に認めた。再発は37.0%にみられ,そのうち6年以上経過したものでは69.2%に再発を認めた。また再出産したものは3例であるが,全例に再発をみた。産科的障害の他に生活上の事件や育児不安など何らかの状況因子を認めたものは73.3%であった。
 産褥期うつ病の発症には,病前性格および状況因子が関与していることを指摘した。

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?