研究と報告
慢性精神分裂病の症状と人口統計学的諸指標との関係—英国における研究
著者:
北村俊則1
所属機関:
1国立精神衛生研究所
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ページ範囲:P.1289 - P.1295
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抄録 Brief Psychiatric Rating Scale,Symptom Rating Scale,Ward BehaviourRating Scaleを20名の慢性精神分裂病入院患者に適用し,各症状と年齢,発症年齢,罹病期間,入院回数,今回の入院期間,投与されている抗精神病薬のchlorpromazine換算量による1日量のそれぞれとの相関を求め,さらにそれぞれの症状について各指標を説明変数として重回帰分析を施行した。その結果,①罹病期間が長いほど病棟の内外の適応能力が低い②入院期間が長いほど思考の障害が重い③入院回数が多いほど感情的ひきこもりが軽い④投与薬剤の量が多いほど情動の障害が強い⑤陽性症状,抑うつ症状,非特異的神経症様症状に対しては上記の指標の寄与はきわめて少ないことが認められた。このことから陰性症状と一括される種々の症状が成因上異なるものである可能性が指摘された。