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文献詳細

雑誌文献

精神医学27巻11号

1985年11月発行

研究と報告

抗てんかん薬長期服用患者の視床下部—下垂体系機能について

著者: 有田忠司1 金山隆夫2 渡辺登美子1

所属機関: 1新潟大学医学部精神医学教室 2国立療養所寺泊病院

ページ範囲:P.1297 - P.1304

文献概要

 抄録 抗てんかん薬の長期投与が及ぼす視床下部-下垂体系機能への影響を検討するために,25例のてんかん患者でT4とT3を測定し,そのうちT4あるいはT3が最も低値又は低下傾向にあった6例の患者について血中の各甲状腺ホルモン濃度とTBG濃度を測定し,TRH負荷試験を実施して正常対照者6例と比較した。更に,てんかん患者4例には5日間連続のTRH負荷試験を行ない,次の結果を得たので報告する。
 てんかん群の甲状腺ホルモン末梢代謝動態は5′-脱ヨード酵素活性の亢進によるT4からT3への変換率が促進しており,正常対照群に比べ有意な低T4血症であった。TRH負荷試験では,てんかん群のTSH反応が全体に低下しており,TSH最大反応値は正常対照群に比べ有意に減少していた。このてんかん群でみられた下垂体TSH分泌予備能の低下は,5日間連続のTRH負荷試験から,下垂体レベルの機能異常によるものと考えられた。更に,抗てんかん薬長期服用患者では下垂体TSH含量の減少も示唆された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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