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文献概要

研究と報告

精神科長期入院患者の動脈硬化について

著者: 関口隆一1 山崎治1 山崎潤1 五十嵐良雄1 長谷川元治2 中島三之亟3 野口拓郎1

所属機関: 1埼玉医科大学精神医学教室 2東邦大学医学部臨床生理機能学研究室 3東松山病院

ページ範囲:P.1305 - P.1312

 抄録 精神科長期入院患老の動脈硬化度を大動脈脈派速度(P. W. V.)法を用いて測定し,一般集団検診受診例より抽出した健常対照群と比較,検討した。また入院患者群の肥満度と,総コレステロール,トリグリセライド,β-リポ蛋白,HDL-コレステロールの4種の血清脂質を測定し,P. W. V. 値との関連について検討し,以下の結果を得た。(1)精神科長期入院患者群の30〜70歳台の各年代におけるP. W. V. 値は健常対照群と比較して有意な高値を示し,動脈硬化が高度であることが判明した。(2)入院患者群の19.5%に高度肥満を認め,中等度,軽度肥満を含めると約半数の症例に肥満が認められた。(3)4種の血清脂質中,β-リポ蛋白,HDL-コレステロールで異常を示す例が多く認められた。(4)年齢,在院期間,収縮期および拡張期血圧,身長,体重,4種の血清脂質の計10因子中,P. W. V. 値に高い寄与度を示したのは年齢,収縮期血圧,拡張期血圧,総コレステロール値であつた。

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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