icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学27巻11号

1985年11月発行

文献概要

短報

ベンゾジアゼピン系剤の投薬中止が発症誘因と示唆される悪性症候群の1例

著者: 堀口淳1 貴志英一1 渡部嵐1

所属機関: 1宇和島精神病院

ページ範囲:P.1319 - P.1321

文献購入ページに移動
I.はじめに
 悪性症候群は,チオプロペラジン,ハロペリドールなどのincisifな抗精神病薬の非経口投与や多剤併用,大量投与,急な減量や変更などが発症の誘因となりやすい可能性が指摘されている7)。最近では抗パーキンソン病薬の中断や減量により悪性症候群様状態が発症したパーキンソン病患者の報告3)もある。今日まで本症の治療論において,ベンゾジアゼピン系剤の本症に対する有効性を指摘する報告8)があるが,ベンゾジアゼピン系剤自体が抗精神病薬のように本症の発症誘因と考えられたとする報告はない。最近著者らは精神分裂病患者で約30年間の長期間抗精神病薬を連用し,約3年前からパーキンソンニズムおよび痴呆を合併し,抗精神病薬とともに約20年間連用してきたベンゾジアゼピン系剤の急激な中止が発症誘因と示唆され得る悪性症候群の1例を経験したので報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?