精神医学27巻11号

1985年11月発行

短報

自律訓練法を適用した慢性多汗症の1例

著者： 坂井誠¹ 小坪大作¹² 武市昌士¹ 緒方良¹³

所属機関： ¹佐賀医科大学精神医学教室 ²現：九州大学医学部神経精神医学教室 ³現：大牟田労災病院

ページ範囲：P.1327 - P.1329

I．はじめに
　従来より情動性の多汗症は薬物への反応が一時的であるために治療が困難であり^6），心理療法の必要性が主張されている^8）。しかし，我々の知り得る限りにおいては治療成功例の報告は極めて少ない^2〜5,7）。今回われわれは10年来の情動性多量発汗を訴えた患者に自律訓練法（ATと略す）を適用し，治療が奏効した興味ある症例を経験したので報告する。