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雑誌目次

論文

精神医学27巻12号

1985年12月発行

雑誌目次

巻頭言

日本精神神経科診療所医会の大きな課題

著者: 長坂五朗

ページ範囲:P.1336 - P.1337

 精神科診療所が地域精神医療の中核をなすべきであるという考えは,精神病院中心主義への批判から必然的に出てくる結論である筈のところ,現実には金沢学会(昭和44年)でそうした批判が出された時点では,受皿としての診療所の数さえはっきりしていなかった。しかし昭和45年1月には,本誌で"精神科診療所をめぐる諸問題"の特集が組まれている。多少官製的構成は免がれなかったが,話題提供者が現場の経験者のため,ディスカッションは極めて現実的で多彩であった。これが1つの刺激になったのか各地に医会が出来,昭和49年12月に第1回の全国集会が持たれ,50年6月第2回総会が開かれ,正式に日本精神神経科診療所医会(以下日精診)と称し,毎年6月に総会を持つことになった。第4回から地方持ち廻りとなり,総会を運営できる力のある地区が選ばれて,大阪,兵庫,広島,九州,愛知,神奈川,北海道などで総会が持たれ,間で東京,大阪が中継するなどして,昭和60年度は第12回総会が札幌市で開かれた。発足当時約170名の会員は60年10月1日現在で概ね400名である。会は定款に従って運営され,年2回の医会誌を発刊,6回の日精診ニュースを発行して,会員間の資質の向上と親睦を図り,昭和54年以降国立精神衛生研究所が厚生省から受けている地域精神医療の研究の1つの班に加えられて,研究助成費をもらっている。日精診という呼称もある程度精神医療関係者には認知されてきていると思っている。冒頭に述べたようなテーゼには余りに時間が経ちすぎたためか,あるいはなお日精診の会員数からしてマイノリティなのか,精神科診療所中心主義というアピールは出て来ないで,外来中心主義というかなり,概念的な表現に置きかえられている。そして現実には精神病院入院中心主義が存続している。ある面では国際的な色彩をおびて,国の外と内から批判が出て,精神衛生法をゆさぶっているが,果してどこまで患者側に理解を寄せられるか,私達は公平な立場から期待を持つものである。その中で地域の中で生活を普通に生きていけるような基本理念が貫かれることを特に希望する。

特集 摂食障害の心理と治療

摂食障害の心理と治療—精神療法的接近をめぐる今日的主題

著者: 遠山尚孝 ,   石川義博

ページ範囲:P.1338 - P.1342

 この小特集は,われわれの研究所で行った小シンポジウム「摂食障害の心理と治療」において,各演者が当日発表したものをもとに新たに筆を起こしたものからなっている。神経性無食欲症を中心とする摂食障害については,すでに本誌でも下坂幸三による総説26),補論27)があり,臨床精神医学誌11,16,28,32),季刊精神療法誌4,19)でも特集が組まれたことがあるが,今回かようなシンポジウムを催しここに報告を行うわれわれの意図を,初めに簡単に記すことにしたいと思う。
 本症者の示す特異な病像,病態,あるいは特有の精神的態度に関しては,ここ20年来の諸家の研究報告によって,今やわれわれは豊富な知見を手にしているといえるであろう。Meyer, J. E.(1961)が思春期やせ症Pubertats-magelsuchtの概念を提示して成熟危機と成熟した女性になることのためらいが見られるとし,Bruch, H.(1962)が身体内臓感覚の認知,ならびに身体像の障害,無力感という3要因によって本症を特徴づけたが,時を同じくして本邦では下坂(1961)が,成熟嫌悪,幼年期への憧景,男子羨望,厭世的観念,そう身希求,禁欲主義,主知主義等,7っの特有な精神的態度を見出して,その後の研究の基礎づけを与えた。従来発症頻度がごく少ないと考えられていた本症が,次第に増加する傾向を示して数多くの報告6,8,22,23,30)がなされるようになっても,大筋ではこれらの知見を追認しあるいは補完するものであった。

思春期やせ症—重症例の治療をめぐって

著者: 小倉清

ページ範囲:P.1343 - P.1352

I.断片的な観察
 思春期やせ症についてはすでに多くの論述がこれまでに発表されてきている。ここでは組織だった理論展開を試みるよりも,臨床的な経験から得られたいくつかの観察,ないし印象を断片的に述べてみる。

神経性無食欲症者の病態と心理力動—安定型と不安定型の比較を中心に

著者: 岡秀樹 ,   青木宏之 ,   遠山尚孝

ページ範囲:P.1353 - P.1360

I.はじめに
 やせ願望を直接の契機として自発的食事制限を開始し,次第に食行動の自己コントロールの喪失という病態に陥っていく神経性無食欲症者は,近年著しく増加する傾向を示しているように見える。時折本症がマスコミの話題になって,本症者の悲惨な結末などが新聞紙上をにぎわすこともあるが,また同時に本症はこの時代の必然の落し子のように論じられたり,やせ願望をつのらせ自発的節食を奨励する広告が満載されているのをみると,今後とも恐らく本症者は確実に増えていくものと思われる。そうした中で臨床家は,多様化する本症者に対して実際的な対応を迫られることになるであろう。
 その特異な病像と青春期の女子に好発するという特殊性故に,本症は諸研究者の大いなる関心を集めて,序論でも触れられている如くすでに本症に関する意欲的かつ多面的な研究報告が蓄積されてきている。今やわれわれは必要とあらば本症に関する豊富な知識と一定の理論を,それらの中から容易に得ることが出来るであろう。しかし敢えて不幸にもと言って良いと思うが,今日かくも本症に関する知識が豊富なことが,かえって臨床実践を誤らせ困難にしていることがありはしないだろうか?もしかするとこの20数年の間に本症の病態に変化が生じていて,既存の理論で対応しきれないという側面があるやもしれぬが,もともと本症がわれわれに強く理論的な関心や興味を呼び起こす特質をもつが故に,容易に入りこんでくる説得力の高い理論がかえって治療者の目を曇らせ,治療実践の個別性を見失わせる結果になるように思われる。例えば基木的な欲求である「食」を拒むという病態に好奇心を寄せ,言いえて妙な「成熟拒否(嫌悪)」という説明概念に成程と肯き,本症者が一面で見せる物分りの良さや時に豊かでさえある言語表現に治療的期待や野心を抱いたものの,「乏しい治療動機」を前にして立ち往生してしまい,遂には「病識の欠如」故に治療は困難であるという結論を出すといった経験を,多くの方がお持ちではないかと思われる。知識や理論が客観的事実であるかのように定立されると,実はそれらは,治療者や家族と症者との相互作用によって生み出されているという事実そのものへの感受性が雲らされるのであろう。そのような点からするとシンポジウム当日,小倉が共感をこめて紹介し,筆者らも学ぶことの多かった滝川の論文8)は,治療そのものと治療についての知識(論)との違いが自覚された,真に治療的・臨床的な治療論として,優れて啓発的な論文といえよう。

摂食異常症患者の行動制限療法—患者のもつ“枠”の病理とその緩和

著者: 深町建

ページ範囲:P.1361 - P.1369

I.はじめに
 摂食異常症患者の心理療法の困難さの第一の理由は,その言語的表現の貧困さであり,第二の理由は治療意欲の乏しさである。本症患者の入院を引き受け,定期的面接の中で,その乏しい発言や入院中の行動を手がかりに,やせるという自分の肉体のコントロールを通してしか自分をコントロールできないと感じているその根底には,Bruck1)のいう無力感が存在していること,およびその無力感のゆえに家族の者や医療スタッフに一方で依存しながら,他方その相手を自分の思い通りに支配しようとし,その矛盾した周囲とのかかわり方が,その身体症状や異常行動となって現われていることなどを,何とか気付かせようと試みてきた。しかしそれらはいずれも徒労に終り,その治療過程の中で浮きぼりにされたものは,患老の無力感ではなく,治療者の無力感にほかならなかった2)
 その後当時摂食異常症患者に対してすぐれた治療効果が報告されていた行動療法4)にヒントを得て,患者を入院後一定の行動制限下において心理面接を行ってみた。その結果本症患者では,全面受容的な治療状況よりは,制限された一定の治療的枠組みの中で,より豊かな感情的,言語的表出がなされることが明らかになった3)。その後2,3の修正を加え,現在〈行動制限療法〉と称し患者の治療を行っているが,以下この技法の紹介と,その技法を用いた2症例の具体的な治療経過を報告し,最後に患者のもつ“枠”の病理について考察を加えたい。

研究と報告

過食症と神経性食思不振症

著者: 切池信夫 ,   西脇新一 ,   泉屋洋一 ,   川北幸男

ページ範囲:P.1371 - P.1377

 抄録 昭和55年4月から58年6月までの3年3カ月間に大阪市大病院神経精神科を受診し,治療を受けた28例のAnorexia nervosaを過食症を有する17例と摂食制限のみを認める11例に分け,発育史,家族歴,臨床症状,経過,予後などを対比検討した。過食症はAnorexia nervosaの約半数に認められ,これらの患者は病前においてやや肥満傾向を示し,摂食制限開始後約1年以内に過食症を生じた。その大部分においてほぼ毎日の頻度で過食症を生じ,その大半において過食後の嘔吐,下剤の乱用などを認めた。過食症を有する患者は高年齢で罹病期間が長く,精神症状で自殺企図,盗癖などの衝動行為を認め,MMPIにおいても摂食制限群と異なるパターンを示した。これらのことから過食症を有する患者はAnorexia nervosaの患者中一つの亜型群を形成していると考えられた。

神経性無食欲症と上腸間膜動脈症候群

著者: 宮岡等 ,   仲村禎夫 ,   浅井昌弘 ,   宮沢幸久 ,   多田紀夫 ,   佐野茂顕

ページ範囲:P.1379 - P.1389

 抄録 神経性無食欲症(Anorexia nervosa,以下AN)の経過中に上腸間膜動脈の機械的圧迫による十二指腸閉塞(上腸間膜動脈症候群,Superior mesenteric artery syndrome,以下SMAS)により急性胃拡張を発症し,手術施行後順調な体重増加を示した症例を報告した。本症例はANにおけるるいそうの進行によって慢性型SMASが生じ消化器症状の身体的基盤となっており,SMASの急性増悪により急性胃拡張が発症したと推測された。本邦ではANとSMASとの関係にあまり注目されていないため以下の観点から考察を加えた。(1)ANの経過中生じる急性型SMASは急性胃拡張の原因となる重篤な合併症であるが,その臨床的指標となる嘔吐,腹痛などの消化器症状は心因性のものとして見逃されることがある。(2)ANにおいてるいそうが進行した場合,慢性型SMASを併発しAN自体の消化器症状が増悪したように見えることがある。(3)ANと無関係に生じる慢性型SMASは臨床症状の類似性のためANと誤診されることがある。これらは実地臨床上重要な問題であると考えられる。

うつ病の社会交化的研究—その日本的特性

著者: 高橋良 ,   矢崎妙子 ,   北西憲二

ページ範囲:P.1391 - P.1401

 抄録 うつ病は数が増加しているだけてはなく,うつ病そのものも変化しているのではないかの問いに答えるために,2つの方法で調査を行った。第1の方法は統計的方法といえるもので,社会文化的背景の異なる東京のうつ病114例と,長崎のうつ病108例について,うつ病の症状を比較検討した。第2の方法として,東京のうつ病24症例を出生年により「戦前成育群」と「戦後成育群」に分け,発病に誘発的に関与した日常生活の出来事と,精神病理の分析を行った。その結果,東京のうつ病が都市型うつ病であるのに対して,長崎のうつ病は古典的うつ病であることが推測され,日常生活の出来事については,「戦前成育群」では家族/世帯や社会関係のなかの出来事が,「戦後成育群」では個人や生計に関する出来事が多く,両者間に統計的有意差がみられた。また「戦後成育群」の日常生活の出来事は,個人の興味の範囲内に限られ,自責感や罪責感情は生じにくいことが判明した。

精神分裂病における半球内および半球間情報処理—分割視野法による再検討

著者: 丹野義彦 ,   町山幸輝

ページ範囲:P.1403 - P.1412

 抄録 精神分裂病の半球機能障害説や左右半球間連絡機能障害説を検討するため,分裂病患者20名,正常対照者20名に対し,タキストスコープによって左右いずれかの片視野および両視野に7.8の視角で提示される文字および図形の同定と照合を求めた。その結果,半球障害説に関しては,一部の課題では右半球障害説と一致し,半球間連絡障害説に関しては,仮説と一致する課題と矛盾する課題が相半ばした。11°および22°の視角に刺激が提示されたわれわれの前回の分割視野実験と比較すると,今回の結果はかなり異なる。結果の違いの原因のひとつは刺激提示の視角の違いであると推測された。このような結果の非一貫性から,両仮説はなお検討を要すると考えられた。また患者では2刺激の同定課題で成績が著しく不良であり,誤答の内容を分析すると,第二刺激の同定がとくに不良であるためであった。この現象は視覚的感覚記憶から短期記憶への情報転送過程の障害によると考えられた。

月経周期に関連し発作時に高アンモニア血症を示したSpike-Wave Stuporの1例

著者: 横山尚洋 ,   柱岳文 ,   原常勝 ,   服部宗和 ,   海宝美和子

ページ範囲:P.1413 - P.1420

 抄録 強直間代発作が38歳で初発し,その約1年後にspike-wave stuporを呈するようになった女性例を報告した。spike-wave stuporは月に3回周期的に発来し約2日間持続するものであったが,基礎体温を測定したところspikc-wave stuporの出現は月経の前後および排卵期にほぼ一致していることが明らかとなった。また血中アンモニアがspike-wave stuporの発作中のみ高値を示し発作間欠期には正常であり,アンモニアが発作の誘発に関係していることが推測された。spike-wave stuporにおいて内分泌,生化学的な誘因を有する症例の報告は少なく,本例はspike-wave stuporの発生機序を考える上で興味あるものと思われる。また抗てんかん薬の微妙な調整により発作抑制に成功したことから,spike-wave stuporに与える抗てんかん薬の影響についても考察を加えた。

二重盲検交叉試験による新ベンゾジアゼピン系睡眠薬450191-Sの睡眠障害に対する薬効評価

著者: 大熊輝雄 ,   福田一彦 ,   衛藤俊邦 ,   山下格 ,   山内俊雄 ,   松原隆広 ,   森温理 ,   佐々木三男 ,   伊藤洋 ,   飯島寿佐美 ,   杉田義郎 ,   手島愛雄 ,   佐野譲 ,   古田寿一 ,   金英道 ,   挾間秀文 ,   川原隆造 ,   井上寛 ,   中沢洋一 ,   小鳥居湛 ,   坂本哲郎

ページ範囲:P.1421 - P.1438

 抄録 新睡眠薬450191-Sの後期第2相試験として,本剤1mg,2mgの有効性,安全性を客観的に検討するため,ニトラゼパム5mgを対照薬として二重盲検交叉試験を行った。対象は不眠症,神経症,うつ病,精神分裂病などで,不眠を訴えた140例である。概括評価の解析結果から(1)ニトラゼパム5mgに対する本剤の等価性は,ニトラゼパム5mgに比べて本剤1mgは弱く,本剤2mgはやや強いことが示された。(2)各睡眠指標に対する3薬剤の影響についての比較では,慨括評価と類似した薬効の強度の差がみられたにすぎなかった。(3)診断群ごとの3薬剤の概括評価項目についての患者内比較では,神経症群,うつ病群の薬剤間の勝ち率を比較すると,有意差はなかったが,勝ち率の数値は本剤1mg,ニトラゼパム,本剤2mgという一定の順序になったが,精神分裂病では一定の順序はみられなかった。(4)副作用についても3薬剤間に有意差はなかった。

短報

禁断時の意識障害を背景として鏡像書字を呈したMeprobamate依存の1例

著者: 玉井顕 ,   年澄徹 ,   鳥居方策 ,   武内徹

ページ範囲:P.1439 - P.1442

I.はじめに
 Meprobamate依存の報告例は,本剤が盛んに使用された1955年から1970年までの間に数多くみられ,けいれんや意識障害が比較的出現しやすいことが指摘された1〜4)。しかし,その後は他のminor tranquilizer,とくにbenzodiazepine系薬剤が多数開発されるに及び,本剤依存は急激にその数を減じ,症例報告も殆ど見られなくなった。
 一方,われわれは数年前から脳損傷に由来する鏡像書字を検索し,ある一定の大脳限局病巣のみが鏡像書字を出現させるのではなく,両半球のどの部位が損傷を受けても鏡像書字が出現する可能性を指摘するとともに,左右の各半球損傷による鏡像書字の間に明らかな性質の相違のあることを発見した5)
 われわれは,最近では稀なmeprobamate依存の症例を経験し,禁断時に観察された鏡像書字を脳損傷の場合と比較して興味ある所見を得たので報告する。

精神神経症状を呈したNon-Hodgkin's Lymphomaの1例

著者: 千葉茂 ,   中條拓 ,   田中康雄 ,   高橋三郎 ,   高橋康二 ,   西野茂夫 ,   菊池雄三

ページ範囲:P.1443 - P.1445

I.はじめに
 近年,非ホジキンリンパ腫(non-Hodgkin's lymphoma,以下NHLと略す)に対する治療成績が向上してきたが,一方では従来まれな合併症と考えられていたNHLの中枢神経系病変が増加しつつあることが指摘されている7〜9)。本症の中枢神経系病変は,臨床病期(現在NHLに用いられているAnn Arborの臨床病期分類によるもの)が進行した時期に多く3),腫瘍細胞の骨髄浸潤陽性と,腫瘍細胞が末梢血中に出現する白血化現象を示す症例において高率に認められるとされてきた5,7,10,11)
 最近われわれは,NHLが完全寛解期にあったにもかかわらず,幻視を伴う意識障害と髄液中に多数の腫瘍細胞を認め,NHLの髄膜浸潤と確診された症例を経験したので報告する。

資料

榊俶教授精神病学講義筆記録(高嶺三吉)—開講100年をまえに

著者: 岡田靖雄 ,   吉岡真二 ,   長谷川源助

ページ範囲:P.1447 - P.1453

抄録 1886年12月3日にはじまる榊淑教授の第1回精神病学講義および12月8日にはじまる文科学生への脳論講義の筆記録が正橋剛二氏により発見された。記録者高嶺三吉は,帝国大学文科大学第1哲学科選科生徒で,1887年9月6日死去。この高嶺ノートの概略を紹介した。榊の初期講義のすくなくとも一部分はW. Griesingerの教科書によっていることを証明し,わが国明治前半の精神病学におけるかれの重要性を指摘した。またわが国の精神病学講義の歴史,ならびに精神病学術語の訳語の問題にふれた。最後に,1986年12月はじめに行われるべき榊教授開講100年記念行事についての呼び掛けを行っている。

動き

第16回国際精神神経内分泌学会総会印象記

著者: 山下格

ページ範囲:P.1454 - P.1457

 昭和60年4月14から18日まで,京都市の京都会館で国際精神神経内分泌学会(International Society of Psychoneuroendocrinology:ISPNE)の第16回総会が開催された。会期中の集計によると,参加者は外国から74名,国内から220名という多数にのぼった。発表演題も別表のような4つのシンポジウム,5つのワークショプ,さらにフリー・コミュニケーション,ポスター・セッションにそれぞれ28題,34題,50題および63題,合計175題の出題があって,予想をはるかに上回ったため,急ぎ会場数をふやしたほどであった。各会場は熱気がこもって,最後まで盛会裡に終始した。
 この学会の印象記を書くのが遅れたことを大変申しわけなく思っている。ひとつはやや長い外国出張をふくむ諸用が重なったためであるが,主な理由は1人で学会全体を見通すことがあまりに困難で執筆がためらわれたことによる。しかしその困難さがまたこの学会の特徴であり長所でもあるので,まずその事情から話をすすめさせていただきたい。

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精神医学 第27巻 総目次

ページ範囲:P. - P.

基本情報

精神医学

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-126X

印刷版ISSN 0488-1281

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