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抄録 昭和55年4月から58年6月までの3年3カ月間に大阪市大病院神経精神科を受診し,治療を受けた28例のAnorexia nervosaを過食症を有する17例と摂食制限のみを認める11例に分け,発育史,家族歴,臨床症状,経過,予後などを対比検討した。過食症はAnorexia nervosaの約半数に認められ,これらの患者は病前においてやや肥満傾向を示し,摂食制限開始後約1年以内に過食症を生じた。その大部分においてほぼ毎日の頻度で過食症を生じ,その大半において過食後の嘔吐,下剤の乱用などを認めた。過食症を有する患者は高年齢で罹病期間が長く,精神症状で自殺企図,盗癖などの衝動行為を認め,MMPIにおいても摂食制限群と異なるパターンを示した。これらのことから過食症を有する患者はAnorexia nervosaの患者中一つの亜型群を形成していると考えられた。
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