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文献詳細

雑誌文献

精神医学27巻12号

1985年12月発行

文献概要

研究と報告

神経性無食欲症と上腸間膜動脈症候群

著者: 宮岡等1 仲村禎夫1 浅井昌弘1 宮沢幸久2 多田紀夫2 佐野茂顕3

所属機関: 1慶応義塾大学医学部精神神経科 2帝京大学医学部第2外科 3東京慈恵会医科大学青戸分院内科

ページ範囲:P.1379 - P.1389

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 抄録 神経性無食欲症(Anorexia nervosa,以下AN)の経過中に上腸間膜動脈の機械的圧迫による十二指腸閉塞(上腸間膜動脈症候群,Superior mesenteric artery syndrome,以下SMAS)により急性胃拡張を発症し,手術施行後順調な体重増加を示した症例を報告した。本症例はANにおけるるいそうの進行によって慢性型SMASが生じ消化器症状の身体的基盤となっており,SMASの急性増悪により急性胃拡張が発症したと推測された。本邦ではANとSMASとの関係にあまり注目されていないため以下の観点から考察を加えた。(1)ANの経過中生じる急性型SMASは急性胃拡張の原因となる重篤な合併症であるが,その臨床的指標となる嘔吐,腹痛などの消化器症状は心因性のものとして見逃されることがある。(2)ANにおいてるいそうが進行した場合,慢性型SMASを併発しAN自体の消化器症状が増悪したように見えることがある。(3)ANと無関係に生じる慢性型SMASは臨床症状の類似性のためANと誤診されることがある。これらは実地臨床上重要な問題であると考えられる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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