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文献詳細

雑誌文献

精神医学27巻12号

1985年12月発行

文献概要

研究と報告

うつ病の社会交化的研究—その日本的特性

著者: 高橋良1 矢崎妙子2 北西憲二3

所属機関: 1東京医科歯科大学神経精神医学教室 2東京医科歯科大学保健管理センター 3東京慈恵会医科大学神経精神医学教室

ページ範囲:P.1391 - P.1401

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 抄録 うつ病は数が増加しているだけてはなく,うつ病そのものも変化しているのではないかの問いに答えるために,2つの方法で調査を行った。第1の方法は統計的方法といえるもので,社会文化的背景の異なる東京のうつ病114例と,長崎のうつ病108例について,うつ病の症状を比較検討した。第2の方法として,東京のうつ病24症例を出生年により「戦前成育群」と「戦後成育群」に分け,発病に誘発的に関与した日常生活の出来事と,精神病理の分析を行った。その結果,東京のうつ病が都市型うつ病であるのに対して,長崎のうつ病は古典的うつ病であることが推測され,日常生活の出来事については,「戦前成育群」では家族/世帯や社会関係のなかの出来事が,「戦後成育群」では個人や生計に関する出来事が多く,両者間に統計的有意差がみられた。また「戦後成育群」の日常生活の出来事は,個人の興味の範囲内に限られ,自責感や罪責感情は生じにくいことが判明した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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