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文献詳細

雑誌文献

精神医学27巻12号

1985年12月発行

研究と報告

精神分裂病における半球内および半球間情報処理—分割視野法による再検討

著者: 丹野義彦1 町山幸輝2

所属機関: 1群馬大学医学部行動医学研究施設行動生理学部門 2現在 群馬大学医療技術短期大学部 3群馬大学医学部神経精神医学教室

ページ範囲:P.1403 - P.1412

文献概要

 抄録 精神分裂病の半球機能障害説や左右半球間連絡機能障害説を検討するため,分裂病患者20名,正常対照者20名に対し,タキストスコープによって左右いずれかの片視野および両視野に7.8の視角で提示される文字および図形の同定と照合を求めた。その結果,半球障害説に関しては,一部の課題では右半球障害説と一致し,半球間連絡障害説に関しては,仮説と一致する課題と矛盾する課題が相半ばした。11°および22°の視角に刺激が提示されたわれわれの前回の分割視野実験と比較すると,今回の結果はかなり異なる。結果の違いの原因のひとつは刺激提示の視角の違いであると推測された。このような結果の非一貫性から,両仮説はなお検討を要すると考えられた。また患者では2刺激の同定課題で成績が著しく不良であり,誤答の内容を分析すると,第二刺激の同定がとくに不良であるためであった。この現象は視覚的感覚記憶から短期記憶への情報転送過程の障害によると考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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