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特集 睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome)―その病態と臨床
睡眠時無呼吸過眠(睡眠過剰)症候群の臨床
著者: 菱川泰夫1 杉田義郎2 飯島壽佐美1 手島愛雄2 清水徹男1 西村信哉3 堤俊仁2 八十嶋晶2 松尾龍之介3
所属機関: 1秋田大学医学部精神科教室 2大阪大学医学部精神医学教室 3大阪大学医学部麻酔学教室
ページ範囲:P.161 - P.171
文献購入ページに移動睡眠時無呼吸過眠(睡眠過剰)症候群は,Sleepapnea DOES(disorders of excessive sleepiness)syndromeを邦訳した名称である。この症候群の名称は,これまでに変遷を繰り返してきている。本症候群に属する病態のうちで,著しい肥満に加えて,右室肥大,右心不全,二次的赤血球増多などの肺胞性低換気に基づく二次的な症状を伴うものを,Burwellら(1956)3)は,ピックウィック症候群Pickwickian syndrome(PWS)と呼ぶことを提唱した。それ以前には,PWSは,著しい肥満によって生じる特殊な心・肺機能の障害だと考えられていて,特別な名称はつけられていなかった。次いで,1960年代になると,PWSの研究に睡眠ポリグラフが導入された結果,頻回の無呼吸が睡眠中にのみ出現することと8),著しい肥満を伴わないが,PWSと同様に睡眠中の頻回の無呼吸と昼間の著しい睡眠過剰の症状を呈する患者が存在することなどが明らかにされた。それらの新しい知見に基づいて,肥満を伴っていない症例をも包含する名称として,hypersomnia with periodic breathingという名称がCoccagnaら(1971)5)によって提唱され,次いで,Lugaresiら(1976)15)によってhypersomnia with periodic apneasと,Guilleminaultら(1976)10)によってsleep apnea hypersomnia syndromeと呼ぶことが提唱された。sleep apnca DOES syndromeという名称は,1979年に発表された国際的な"睡眠・覚醒障害の診断・分類"の中で初めて用いられた2)。
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