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特集 睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome)―その病態と臨床
睡眠時無呼吸不眠症候群
著者: 浜原昭仁1 佐野譲2 炭谷信行1 古田寿一1 金英道1 林卓也3 山口成良1
所属機関: 1金沢大学医学部神経精神医学教室 2国立金沢病院精神科 3福井医科大学神経精神医学教室
ページ範囲:P.173 - P.181
文献購入ページに移動睡眠時無呼吸不眠症候群sleep apnea DIM Ssyndromeとは睡眠中に繰り返し無呼吸を呈する症候群のうち,とくに不眠を主訴とするものをいう。1973年,Guilleminaultら9)が慢性の不眠症の患者に頻回に起こる睡眠時の無呼吸を認め,“Insomnia with sleep apnea syndrome”という新しい症候群を提起したのがはじまりである。これは,それ以前に報告されていた睡眠時無呼吸症候群と異なり,傾眠症や肥満を伴わないものであった。その後も他の研究者によって同様の不眠症が報告された。
1979年のAssociation of Sleep Disorders Centers(ASDC)とAssociation for the Psychophysiological Study of Sleep(APSS)による睡眠覚醒障害の診断分類の中では,睡眠時無呼吸症候群は患者の主訴にもとづき,不眠症候群disorders of initiating and maintaining sleep(DIMS)と過眠症候群disorders of excessive somnolence(DOES)の両群に分けてとり扱われることになった。このうち睡眠時無呼吸不眠症候群は,入眠は容易であるが中途覚醒が多い,日中の過眠や肥満がみられない,ポリグラフ上で中枢性の無呼吸が多いなどが特徴とされている2)。一方,高齢者に睡眠障害が多いことは以前から知られていたが,Carskadonら5)やAncoli-Israelら1)は高齢者に高頻度の睡眠時無呼吸症候群の症例を認め,これまでの安易な不眠症の診断や治療に警告を与えている。
そこでわれわれは,高齢者における睡眠時無呼吸の頻度や病態生理,ならびに不眠症との関係について研究と考察を行うこととした。
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