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特集 睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome)―その病態と臨床
閉塞型睡眠時無呼吸症候群のStrychnine療法
著者: 粥川裕平1 岡田保2 太田竜朗2 原健男1 寺島正義2
所属機関: 1愛知県立城山病院 2名古屋大学医学部精神医学教室
ページ範囲:P.201 - P.206
文献購入ページに移動10年来不安神経症として治療されてきた患者に,通常不安神経症にみられる入眠障害とは異なる睡眠障害が認められた。入眠は良好であるにもかかわらず,頻回の中途覚醒と激しいいびきを夜間睡眠中に認め,早朝覚醒,熟眠感の欠如,そして昼間の傾眠が認められた。睡眠ポリグラフ検査により閉塞型睡眠時無呼吸症候群(以下OSAと省略)と診断された。OSAの精神症状として菱川ら5)は,既に失見当,健忘,易怒性,集中困難などを指摘し,Guilleminaultら2,3)も,知的能力の減退,早朝の錯乱,睡眠中の異常行動,自動症,不安,抑うつ,性格変化などを掲げている。岡田ら10)は,抑うつ状態に於いて,無呼吸が増加した症例を報告しているが,不安や抑うつ,性格障害を主訴として精神科を訪れたOSAの詳細な症例報告は未だなされていない。その意味で臨床経過を少し詳しく報告したい。更にOSAの薬物療法としては今日までに呼吸刺激剤7),三環系抗うつ剤11,12)などが試みられているが,strychnineについては,本邦報告例がない。OSAに対するstrychnine療法の可能性について,睡眠ポリグラフ所見をもとに若干の考察を加え,報告したい。
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