icon fsr

雑誌詳細

文献概要

研究と報告

境界例の臨床症状と脳波異常

著者: 小沢道雄1 宮内勝1 安西信雄1 亀山知道1 浅井歳之1 池淵恵美1 増井寛治1 岡崎祐士1

所属機関: 1東京大学医学部精神医学教室

ページ範囲:P.295 - P.302

 抄録 東大病院精神神経科に通院中の患者のうち,DSM-IIIの分裂病型人格障害または境界性人格障害の診断基準を満たす46名の脳波記録を検討し,対象を脳波正常群(22名),脳波境界群(10名),脳波異常群(14名)に分けた。脳波異常群の脳波異常は,陽性棘波7名,徐波群発3名,側頭部棘波2名,鋭波1名,非突発性異常1名であった。脳波正常群と脳波異常群の症状を,両人格障害の診断基準のA項およびPerryらの症状リストを用いて比較した。その結果,脳波異常群は脳波正常群と比べ,「不適切な激しい怒り」,「他者を利用する」,「多くの人と関わる」,「他者に真の敬意を示さない」という症状の出現頻度が有意に高かった。また,脳波異常群11名に抗てんかん薬を投与し,有効1名,やや有効5名,無効3名,悪化2名であった。以上の結果から,脳波異常と関連するような神経生理学的要因が,境界例の病態や症状を修飾している可能性が示された。

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?