icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学27巻3号

1985年03月発行

文献概要

研究と報告

てんかん患者の追跡眼球運動—側頭葉てんかん患者の注意・認知機能の検討を中心にして

著者: 亀山知道1 斎藤治1 増井寛治1 安西信雄1 丹羽真一1 土井永史2

所属機関: 1東京大学医学部精神医学教室 2都立松沢病院

ページ範囲:P.303 - P.313

文献購入ページに移動
 抄録 てんかん患者,特に側頭葉てんかん患者の注意機能を検討する目的で,追跡眼球運動検査を行った。対象は側頭葉てんかん群(TLE群)37名,その他のてんかん群(NON-TLE群)37名,正常対照17名である。被験者に,0.5Hz視角20度で水平方向に単振動する光の点を一側の眼で追跡させ,水平方向の眼電位図を記録し衝動百分率(衝動成分の振幅の和の頂点間距離に対する比)を求めた。その結果,光点の形に注目させて追跡させた時,精神症状のあるてんかん患者の衝動百分率は精神症状のないてんかん患者より大きかった。TLE群の成績はNON-TLE群より悪かった。NON-TLE群では臨床発作型,発作頻度による衝動百分率の差はなかったが,TLE群では複雑部分発作の頻度の高い者の成績が悪かった。以上の結果から,TEL群では注意・認知機能の障害がより強く,精神症状発現の危険性の高いことが示唆された。さらに,抗てんかん薬の追跡眼球運動に及ぼす影響について考察した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?