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文献詳細

雑誌文献

精神医学27巻4号

1985年04月発行

文献概要

研究と報告

下垂体腫瘍を伴った皮膚寄生虫妄想の剖検例について

著者: 武田雅俊12 谷野志郎12 山下昇三12 松林武之12 広瀬棟彦12 西沼啓次12

所属機関: 1国立療養所松籟荘 2現 大阪大学医学部精神医学教室

ページ範囲:P.409 - P.416

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 抄録 下垂体腫瘍(prolactinoma)を伴った皮膚寄生虫妄想の1症例(69歳,女性)に,脳循環改善剤,マイナーおよび,メイジャートランキライザー投与しても妄想の改善は認められなかった。またprolactinomaに対するbromocriptine療法により血中prolactin値が正常化した後もこの妄想は残っていた。しかし,さらにhaloperidolを追加併用投与したところこの妄想の消失が認められた。剖検脳の検索では,年齢から予測される脳萎縮変化・脳血管性変化は殆ど認められず,また,腫瘍に起因すると思われる圧迫による局所的神経細胞の変性脱落も認められなかった。bromocriptine投与による向精神薬に対する反応の差異や神経病理学的所見などから,皮膚寄生虫妄想の発生機制についての考察を試み,この妄想は必ずしも神経病理学的な器質的変化により引き起こされるのではなく,むしろドーパミンを中心とした神経伝達物質レベルでの機能的変化が関係している可能性を指摘した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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