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文献詳細

雑誌文献

精神医学27巻4号

1985年04月発行

文献概要

研究と報告

長期marihuana使用後に遷延性分裂病様状態を呈した1例

著者: 宮里勝政1 鈴木康夫2 大原健士郎2

所属機関: 1静岡県精神衛生センター 2浜松医科大学精神神経科

ページ範囲:P.417 - P.424

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 抄録 症例は27歳,男性調理士で今回以前に精神病状態の既往はない。1981年10月より米国の飲食店に勤務し同年11月より1日約3本のmarihuana吸煙が1983年3月まで続いた。この頃より意欲低下,抑うつ感から就労困難となり,以後,被害関係妄想,中傷的内容の幻聴,不安が徐々に加わった。1983年6月に帰国したがこれらの症状はその後も持続した。外来での薬物療法により幻覚。妄想は早期に消失したが意欲低下を中心とする状態は改善なく同年11月に入院治療を開始した。入院後は薬物療法に加え生活療法的プログラムにより約1カ月半で病前の状態への回復が得られた。
 本症例での精神症状はその成立過程上でamotivational stateと幻覚・妄想状態に分けて考えられた。前者にはmarihuana長期使用が,後者には環境に対するschizoid personality優位の性格の反応の発展が主に関与したと考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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