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研究と報告
小脳歯状核病変を呈したtardive dyskinesiaの1剖検例
著者: 新井信隆14 長友秀樹1 桑原寛1 天野直二1 横井晋1 斎藤惇2 小堀博3 吉原林3
所属機関: 1横浜市立大学精神神経科 2神奈川県立せりがや園 3曾我病院 4横浜市立大学第2病理学教室
ページ範囲:P.425 - P.430
文献購入ページに移動症例は72歳の女性。34歳頃発症の精神分裂病患者でchlorpromazine,levomepromazine,thioridazineを長期間投与され,約12年後より,四肢のchoreoathetoid様の運動,口周囲のモグモグが出現し,tardive dyskinesiaとして観察されていたが,72歳時,イレウスにて死亡。神経病理学的には,1)lobotomy術後の変化,2)両側被殻の小軟化巣,3)黒質の軽度グリオーゼ,並びに極めて特徴的変化として,4)小脳歯状核神経細胞の腫大性変性像,樹状突起及び周囲の神経網の嗜銀性の増強,の所見を得た。
tardivc dyskinesjaの責任病巣についてはまだ定説はなく様々な報告がある。小脳歯状核病変を強調するものは数少なく,症例の集積の必要性を考え報告する。
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