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文献詳細

雑誌文献

精神医学27巻4号

1985年04月発行

研究と報告

術後神経精神症状の軽快した透明中隔嚢胞の1例

著者: 渡辺雅子15 渡辺裕貴15 野間口光男1 滝川守国2 日笠山一郎3 菅田育穂46 時任純孝4

所属機関: 1鹿児島大学医学部神経精神医学教室 2鹿児島大学保健管理センター 3三州病院 4鹿児島市立病院脳神経外科 5現:国立療養所静岡東病院(てんかんセンター) 6厚地病院

ページ範囲:P.431 - P.436

文献概要

 抄録 透明中隔の二層の膜の閥には正常でも多少の腔が存在するが,これが異常に大きい場合,透明中隔嚢胞(Cyst of the cavum septi pellucidi,以下Cspと略す)と呼ばれる。われわれは,17歳の時に頭痛,肩凝り,昏迷状態,全身けいれん,独り笑い,失禁などの症状を呈した後にいったん寛解し,18歳の時に再び,不眠,不穏,独り言,独り笑い,被害関係妄想,頭痛,嘔吐,多飲多尿,多汗,失調歩行などの症状を呈した症例を経験し,CT上Cspを認めた。これらの症状は,Wilderの透明中隔症候群に合致しており,側脳室から?胞へ開孔するシャント術を施行した結果,症状の著明な改善をみたことから,本症例はCspと関係した器質性精神病であると考えられた。症状が出現と消退を繰り返したことは透明中隔腫瘍と異なりCspに特徴的であると考えられたこと,及び症状の発生機序として帯回への影響が考えられたことを指摘した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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