icon fsr

雑誌詳細

文献概要

研究と報告

老年期の器質性疾患における精神症状に対するTiaprideの効果—二重盲検法によるChlorpromazineとの比較

著者: 清水信1 長谷川和夫2 西村健3 大森健一4 石野博志5 山田通夫6

所属機関: 1東京慈恵会医科大学精神神経科 2聖マリアンナ医科大学神経精神科 3大阪大学医学部神経精神科 4独協医科大学精神神経科 5島根医科大学精神神経科 6山口大学医学部神経精神科

ページ範囲:P.573 - P.582

 抄録 Benzamide系の向精神薬tiaprideの老年期器質性精神病に伴う問題行動感情障害などに対する臨床的有用性を明らかにするため,chlorpromazineを対照薬として二重盲検比較試験を実施した。対象はtiapride群82例およびchlorpromazine群82例であった。
 その結果,全般改善度でtiaprideはchlorpromazineより有意に優れ,またtiaprideの効果発現はchlorpromazineより有意に速かった。症状別でもtiaprideは攻撃的行為,焦燥感をはじめ,感情障害に対してchlorpromazineより有意に優れていた。概括安全度では両剤間に差は認められなかったが,副作用の種類別の比較では覚度の低下がchlorpromazine群よりtiapride群で有意に少なく,またねむけ,口渇もtiapride群で少ない傾向にあった。
 今回の成績から,tiaprideが従来本領域で用いられているchlorpromazineより優れていることが証明された。

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?