文献詳細
短報
文献概要
I.はじめに
フラッシュバック現象(fiashback phenomenon)は履歴現象や逆耐性現象,燃えあがり現象などの近縁現象とともに,精神分裂病や躁うつ病,てんかん等の精神障害の発現および再発機序を解明するうえで極めて注目されている。このフラッシュバック現象はLSD(lysergic acid diethylamide)やそれと類似の幻覚剤1,5,12),マリファナ(marihuana)3,7,18)などの使用者に主として認められる精神現象である。しかし,わが国ではそれら薬剤の法的規制が厳しいこともあり,覚醒剤やシンナーなどの有機溶剤9,10)による臨床報告例のみであった。
われわれは先に長期間大量のマリファナを喫煙し,無動機症状群(amotivational syndrome)と急性挿間性錯乱状態を呈した1症例を報告15)し,さらに治療法がないとされている無動機症状群にペプチド性神経伝達物質コレチストキニンの類似物質であるセルレイン(caerulein)を投与し症状の改善をみた16)。ところが,その後マリファナ非喫煙にもかかわらず,約8カ月間の無症状期を経て以前と著しく類似した精神症状が再現した。そこで,本症例の経過を報告し,その現象についてフラッシュバック現象との関連から検討したい。
フラッシュバック現象(fiashback phenomenon)は履歴現象や逆耐性現象,燃えあがり現象などの近縁現象とともに,精神分裂病や躁うつ病,てんかん等の精神障害の発現および再発機序を解明するうえで極めて注目されている。このフラッシュバック現象はLSD(lysergic acid diethylamide)やそれと類似の幻覚剤1,5,12),マリファナ(marihuana)3,7,18)などの使用者に主として認められる精神現象である。しかし,わが国ではそれら薬剤の法的規制が厳しいこともあり,覚醒剤やシンナーなどの有機溶剤9,10)による臨床報告例のみであった。
われわれは先に長期間大量のマリファナを喫煙し,無動機症状群(amotivational syndrome)と急性挿間性錯乱状態を呈した1症例を報告15)し,さらに治療法がないとされている無動機症状群にペプチド性神経伝達物質コレチストキニンの類似物質であるセルレイン(caerulein)を投与し症状の改善をみた16)。ところが,その後マリファナ非喫煙にもかかわらず,約8カ月間の無症状期を経て以前と著しく類似した精神症状が再現した。そこで,本症例の経過を報告し,その現象についてフラッシュバック現象との関連から検討したい。
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