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文献詳細

雑誌文献

精神医学27巻6号

1985年06月発行

文献概要

特集 前頭葉の神経心理学

前頭眼野と注視行動

著者: 鈴木寿夫1 小松英彦1

所属機関: 1弘前大学医学部第2生理学教室

ページ範囲:P.633 - P.640

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I.序言
 サルの前頭眼野(図1)を一側破壊すると反対側半視野に現われた刺激を無視するようになる6)。この時無視した半視野に一致して弱視が生じ,刺激の検出閾値が上昇している8)。このように前頭眼野の破壊は物を見るという知覚の障害を引き起こすが,同時に眼球を対象物に向ける(注視)という運動の障害も引き起こす。前頭眼野の一側破壊によって眼球位置の偏向が生じ,また視線を一定の方向に向けられなくなる9)。両側で破壊すると眼球運動の減少が生じ,特に上丘の両側破壊と組み合わせると,サルはサッケードがほとんどできなくなり,それが永続する15)
 以上から,前頭眼野は,視覚刺激の検出と,それに対する注視という機能面での知覚と運動の二重性をもっているように思われる。このことはさらに,電気生理学的な研究からもわかる。この部位の多くのニューロンは視覚性であり,記録と反対側の半視野に視覚性受容野をもっている12)。また,この部位を微小電気刺激すると,低い閾値でサッケードが生じる13)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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