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文献詳細

雑誌文献

精神医学27巻7号

1985年07月発行

文献概要

研究と報告

長崎市における精神分裂病発生率研究

著者: 中根允文1 高橋良2 富永泰規1 太田保之1 石沢宗和1 仲間一郎1 道辻俊一郎1 荒木憲一1

所属機関: 1長崎大学医学部精神神経科学教室 2東京医科歯科大学医学部神経精神科学教室

ページ範囲:P.771 - P.781

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 抄録 長崎市居住者を対象に,精神分裂病(以下,分裂病)の発生率を調査した。2年間にわたる調査で,男性61例,女性46例,合計107例の分裂病者が収集され,分裂病の年間発生率人口万対2.0という結果を得た。性別にみると男性で人口万対2.4,女性で人口万対1.6と男性に高く,発症年齢では,男性が15歳から19歳に,女性が20歳から24歳に発症のピークを認めた。本調査は予備調査の実施,case finding networkの設定,採用基準の設定,標準化・構成化された診察表による精神医学的面接とそのための充分なtraining,ICD-9による診断と,これまでの精神医学的疫学研究の問題点を出来る限り克服し,かつ再現性をも有している。本邦では,有病率調査はかなり実施されているが,発生率調査は我々の知る限りでは実施されておらず,本調査を,本邦における分裂病発生率研究に関する最初の調査結果として報告するとともに,分裂病の治療計画,医療サービスのあり方の検討へ寄与したいと考える。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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